「アイドルはずっと好きだったのですが、高校の頃に欅坂46さんの曲に本当に救われていたんです。特に長濱ねるさんが大好きで、憧れでしたね。もちろん、自分がアイドルになろうなんてこの頃は思ってもいなくて、ただただ曲を聞いたりライブに行ったりで救われていました」
欅坂46に救われた。
進学校で有名な高校に行った椿野は、教室内で自らの存在意義を見失っていた。
部活は家庭部で、どちらかといえば地味な存在。中学ではできた勉強も、高校に入ると成績は下から数えたほうが早いくらいに。
「自分はダメな存在なんだ」
そう思い、他の生徒に比べてあまりにもできない自分を責め続けた。
「自分のできなさをすごく感じて。要領も悪いし、一度聞いたこともすぐに覚えられないしで、自分のことをすごく嫌いになっちゃったんです。朝起きて学校行くのが嫌すぎて泣いてました……」
自己嫌悪。そんな椿野を支えたのが、乃木坂46や欅坂46などのアイドルの存在だった。彼女たちの曲を聴き、椿野は落ち込む自分自身を励まし続けた。
そして大学受験を控えた年、思いついたかのようにアイドルオーディションを受けることになる。
「アイドルオーディション」への挑戦した結果⋯⋯
「受験勉強中にオーディションがあることを知りました。アイドルにずっと支えられてきたので『自分もそんな元気づけられる存在になりたい』と思って、受験生ですがオーディションを受けに東京まで行きました」
それは椿野が憧れたアイドルの合同オーディションだった。
結果は3次選考まで進むも合格とはならず、悔しさが残った。
「受験生なのに夜行バスで東京に行って……両親には怒られましたね。アイドルになること反対していました。でもオーディションに落ちた悔しさはずっとあって、『大学に合格したらアイドルになろう』って決めていました」
このときのオーディションはダメだったが、日々の勉強が実り、茨城大学理学部に合格。専攻はもちろん気象学だ。
アイドルと同時に大好きな天気への探求心も大きな晴れ間を見せていた。
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