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アメーバ経営とは、京セラの創業者で、経営破綻したJALを2年8カ月で再上場に導いたことでも知られる故・稲盛和夫氏が編み出した経営手法である。会社組織をアメーバ細胞に見立てて小さな集団に細分化し、集団ごとに独立採算で運営するのが特徴だ。
社内で売り買いが発生し、その金額をオープンにすることで、「自部門の業務がどれだけ会社の収益、成績につながるか」を明確化し、自部門のみならず、会社の経営内容までが社員に見える化していく。このため、一人ひとりが経営に責任を持ち、経営者の視点、意識を持って働けるようになっていくという仕組みである。
六甲バターがアメーバ経営を導入したのは2010年のこと。きっかけは、前会長の塚本哲夫氏が、稲盛氏の経営塾「盛和塾」の神戸校の創設メンバーに入っていたことだった。塚本氏は稲盛氏の言葉を間近で聞き、その価値観と経営手法に深く共感したという。
「営業以外の部門の社員も、お金の使い方や生産性向上、経費の有効活用といった意識を持つようになりました。自部門だけでなく、会社全体の経営を意識できる人が増えたと感じています」
アメーバ経営導入後の効果を、六甲バターのマーケティング本部長・黒田浄治さんはこう語る。
この仕組みにより、社員全員が事業状況や数値を共有。各部署で採算を意識しつつ、とことんおいしさを追求できる土台が整ったのだ。
ただし、アメーバ経営には1つデメリットもある。部門間での売り買いが発生することから、「自部門だけが儲かったらいい」という発想も生まれやすいのだ。
消費者起点の経営哲学
そんなデメリットを防ぐために、アメーバ経営のもうひとつの柱として、フィロソフィーがある。フィロソフィーとはすなわち経営哲学。会社の価値観や、人として正しい行いが記されている。このフィロソフィーとして、六甲バターには69個もの言葉があるそうだ。
なかでも大切にされているのが、「消費者起点の経営」というフィロソフィー。すなわち、マーケットインの経営姿勢だ。そこには、「お客様の喜ぶ笑顔を想像しながら、喜んでいただける価値を創造し続ける」と記されている。
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