QBBベビーチーズ「飛ぶように売れる」棚作りの妙 年間2億本以上!国民的プロセスチーズの"勝因"

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しかし、同社が開発しているのは、なにも商品だけではない。「仕事の手法」や「店頭での売り方」も開発しているのだ。

QBB本社
六甲バターの本社。おなじみの「QBB」のロゴが確認できる(写真:六甲バター提供)

ベビーチーズを例に挙げると、まだ2種類しかなく知名度が低い時代に、スーパーの冷蔵品の一番下段、ボリュームゾーンに置く方法を営業部員が開発したという。下段はもっとも広く、消費者の目に留まりやすい。そして、手に取りやすいので売れやすい激戦場所だ。

そこで同社の営業部員は、「手頃で買いやすい商品ですから、お客様はワンハンドでとれます。試しに下段で売ってくれたら、かなり売れるはずです」とバイヤーを口説いて売り場を仮確保した。そして、実際に売れて手に入れたのだ。

同じ理由から、100円均一コーナーに置かせてもらったこともあるという。

営業部員たちへの信頼が、カニバリへの不安を消した

QBBのチーズは多種多彩なのが魅力だが、それを売る側のスーパーとしては、棚のスペースが決まっている以上、「なにかを売るには、なにかを排除する」必要が生まれる。

そうなると、「六甲バターさんは、このスペースでいいか」と考え、既存商品のスペースが少なくなることもあり得る。同じ会社の中で、商品同士が売り場を食い合う可能性もあるのだ。いわゆるカニバリゼーションという状態だ。

しかし、六甲バターの場合は、こうして営業部員が地道に売り場を開拓したことで、製品開発部の中に「新しい商品もきっと、配置する場所を獲得してくれる」という気持ちが生まれた。だから、「自社の他の製品の売り場を奪ってしまうのでは」などと心配することなく、新製品の開発をのびのび続けてこられたのだ。

QBBチーズ 工場
兵庫県神戸市にある、QBBチーズの工場(写真:六甲バター提供)

「開発先導型」の社風と、部署の垣根を越えて議論を交わせる関係性から生まれる六甲バターの強さ。実は同社にはもう1つ、根本ともいえる強さの理由がある。「アメーバ経営」だ。

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