上場で注目、東京メトロ「2つの新路線」の現在 有楽町線と南北線の「延伸」は何をもたらすか

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有楽町線の延伸で期待されるのは所要時間の短縮と鉄道空白地帯の解消、そして東西線をはじめとする周辺路線の混雑緩和だ。豊洲―住吉間を電車で移動する場合、現在は2回の乗り換えが必要で約20分を要するが、新線が開業すれば両駅間が約9分で結ばれる。

線路は豊洲駅から北東に向かい、豊洲運河、汐見運河、さらにJR京葉線、東京メトロ深川車両基地の下を経て東陽町へ。その先は四ツ目通りの下をまっすぐ北上し、半蔵門線・都営新宿線の住吉駅に至る。

JR京葉線の電車 潮見運河
汐見運河を渡るJR京葉線の電車。有楽町線延伸の新線はこの運河の下を通り、京葉線の鉄橋付近で写真左側へと方向を変えて住吉方面へ向かう(記者撮影)

途中駅は東陽町駅のほか、枝川、千石(ともに仮称)の2駅を新たに設置する。両駅については今年6月、東京メトロが駅出入口用地の公募を開始した。東京都都市整備局の資料によると、駅出入口は1駅2カ所で検討している。

工事着手はいつになる?

一方、南北線の延伸は、白金高輪駅から目黒通りの地下を南西に進み、都が整備する都市計画道路、環状第4号線の下を経て品川駅高輪口の前を通る国道15号の直下に設ける駅へと至るルートだ。

開業すれば品川駅に乗り入れる初の東京メトロの路線となり、地下鉄ネットワークから品川を経由して羽田空港へ、さらには将来のリニア中央新幹線へのアクセスが容易になる。現在、約19分かかっている品川―六本木一丁目間は約9分に短縮される。

地下深くにトンネルを建設することから、南北線の白金台駅、都営浅草線の高輪台駅付近を経由するものの、地下40m以上の深さを走る区間もあり、白金高輪―品川間に途中駅は設けない。建設にあたっては、現在事業中の環状第4号線をはじめ、道路空間を最大限に活用するとしている。

環状第4号線 看板
環状第4号線の整備について説明するパネル。南北線延伸はこれらの道路空間を活用して整備する方針だ(記者撮影)
品川駅高輪口
南北線の品川駅は国道15号の地下に建設する計画だ(記者撮影)

東京メトロによると、両線ともに現在は「11月上旬までの予定で沿線地域への説明会を実施している」といい、工事の着手はそれ以降になるという。

20年越しの課題であった上場により、新たな時代に突入する東京メトロ。新路線の建設も、それと時をほぼ同じくして進み出すことになりそうだ。上場後の成長戦略が注目される同社だが、新線の工事が着実に進展するかどうかも、今後の経営にとって大きなポイントとなるだろう。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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