米銃乱射事件の遺族が作った無料ゲームの意図 娯楽ではない、命を守るための「避難訓練」

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The Final Exam
「毎年、1万5000人以上の学生が銃乱射事件から生き延びるために戦っている」というシンプルながら力強いメッセージ(画像:ゲームより撮影)

『The Final Exam』はそれこそ10分以内に終わる短いゲームで、フィクションらしさも強い。特に銃を持った犯人に追われながら外へ逃げ出すシーンはそれこそ映画のようだが、現実ではそこまでうまく逃げられるとは考えづらい。

もし助かる道があるとするのであれば、そもそも銃乱射事件を発生させないことにある。ゲームによって事件の悲惨さを伝え、本当に生き延びる手段を提示することによって現実を変えよう、といった意図の作品なのだ。

戦時下の過酷な状況を生き残る『This War of Mine』

昨今のゲームは多用な表現が採用されている。もちろん銃を撃って敵を倒すゲームもたくさんあるのだが、一方で、民間人が戦時下の過酷な状況を生き残る『This War of Mine』といった作品も存在する。

This War of Mine
一般人から見た戦争を描いたゲーム『This War of Mine』。NHKなどでも取り上げられている作品だ(画像:Steamより)

『This War of Mine』はポーランド教育省の学生向け推薦図書リストに入っており、ゲームを遊ぶことで現実の一部を学ぶことができると証明されている。銃乱射事件も、ただその悲惨さを伝えるよりも、「生き残りをかけてあがくゲームだ」としたほうが多くの人に訴えかけられるだろう。

「ゲームは娯楽である」というのは間違っていないが、しかし着実に進歩を続けており、小説・映画・漫画のようにフィクションを通じて現実の一部を描くようになってきている。ニュースでは対岸の火事を遠巻きに眺めるだけだが、ゲームではその過酷さをいくらか体験できるのだ。

『The Final Exam』は公式サイトで無料配布中。寄付も受け付けている。

渡邉 卓也 ゲームライター

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わたなべ たくや / Takuya Watanabe

いわゆるテレビゲームを専門にコラム・評論などの記事を書くライター。大学卒業後はサラリーマンになったが、満足にゲームを遊べない環境にいらだちを覚えて転身。さまざまなメディアにゲーム関連の記事を執筆。駄作に対して厳しく書いてしまうことでも知られる。

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