米銃乱射事件の遺族が作った無料ゲームの意図 娯楽ではない、命を守るための「避難訓練」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
The Final Exam
息を潜めて銃撃犯をやり過ごすシーン。こういったシーンでは画面に表示されたボタンをタイミングよく押す、いわゆるQTEシステムが採用されている(画像:ゲームより撮影)

ゲームは主観視点で進行し、銃撃犯から逃れるために学校のさまざまな場所を進むことになる。あるときは体育館でベンチの裏に隠れて犯人をやり過ごし、あるいは机でバリケードを作り、もしくは銃弾が飛び交うなかで姿勢を低くしながら先へ進む必要もある。

銃撃音や叫び声は聞こえるが、銃や血、そして死体といった直接的な表現は存在しない。操作でミスをすると死亡扱いになるものの、そのときも「あなたはもう学校へ行けない。パークランドの虐殺で亡くなった17人の子供と同じように」とメッセージが出る程度になっている。

The Final Exam
銃規制に関する法のひとつ。ゲームが進行するたびにこのような法に関する情報が表示される(画像:ゲームより撮影)

また、ゲームを進めるなかで、アメリカにおける銃規制の法律の重要性が説かれる。たとえば「BAN OF ASSAULT WEAPONS」は軍用に設計された武器の販売を禁止するもので、これを採用すれば銃乱射事件で使われる武器の販売を禁止でき、11件の事件を阻止できたとされている。

しかし、アメリカにおいてこの法律を採用しているのは9州のみにとどまっているという。

政治的主張がゲームで行われる時代

The Final Exam
ゲーム内には、銃乱射事件が発生した学校の地図もある(画像:ゲームより撮影)

ドナルド・トランプは、アメリカで相次ぐ銃乱射事件の一因がゲームにあると主張していた。つまり、銃を規制するのではなく、ゲームを規制すれば凶悪な事件が減ると言っていると解釈せざるを得ない。

その現状を鑑みて制作されたのが『The Final Exam』である。ゲームによって銃乱射事件の恐ろしさを人々に伝えることができるのならば、それこそ規制すべきは銃そのものではないか。そういった被害者遺族の政治的主張が多分に含まれているのである。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事