--ファッションという分野を選んだのは? 市原さん自身はファッションは好きだし、興味もあるけれど、得意ではないとこれまで語っておられます。
私自身が興味と熱量を持ち続けられるものをと思ったんです。衣服って着替えれば、パッと一瞬で見た目も気分も変わりますよね。面白い領域だなと。
自分自身は、何事もつい正解を出したくなるタイプなので、自分のファッションにも正解を求めてしまいがちでした。だから、好きでも楽しみ切れていたかというと微妙だったかなと。でも、好きすぎないからこそ、ビジネスとして自由な発想が持てたところはあるのかもしれません。
それから、生活が少しでも良くなっているという実感が得られて、それを子供にも説明できるようなことをやりたいという思いもありました。
ロジックよりももっと重視すること
--会社としては、クローゼットを管理するアプリから始まり、それが人気を博して固定のユーザーがついてから、次はオンラインにて、お客様個々人のファッションの悩みを解決したり、個々にあわせた装いを提案したりする、パーソナルスタイリングサービス「Let Me Know」を提供することになります。
単純に個々がクローゼット管理をするだけだと、その課題解決までには至らないと感じました。ユーザーの方々が日常の中で抱えている、装いに関するお悩みを聞き出して、それを解決するお手伝いがしたいなと考えて、パーソナルスタイリングのサービスを開始しました。
--そこから、自社製品を作ってアパレルでの起業へと取り組まれます。商品を作るというのは、もう一段階、大きな挑戦ですよね。
パーソナルスタイリングの中でお客様とお話をしていると、そもそもファッションに悩んでいる方が相談にいらっしゃるので、スタイリストが提案した商品をそのまま買いたいんですよ。
たとえば、「肩にこんなデザインのあるブラウスがあるといいですよ」とスタイリストに言われても、お客様としてはぴったりハマるものを探すのは大変だし、自分で選ぶのは不安もあるんですよね。それなら、ドンピシャなものをこちらで提供できたらいいのではないかと。
ビジネス的な背景もあります。投資家さんから資金調達をしていたのですが、ビジネスを拡張させていくにはサービスだけでなく、モノもあったほうがいいのではないかという投資家さんの観点もありました。
--自然とそこに向かうべき流れがあったんですね。
エフェクチュエーションという思考法をご存じですか? スモールスタートでビジネスを起こすときの考え方です。先々までロジックを考えて計算して動くのではなく、今、この瞬間に与えられたリソースと選択肢の中で最適なものを選んで繋げていく。すると、何かしらは生まれるし、どこかには辿り着くという考え方です。
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