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木村石鹸「非効率な」固形石鹸づくり再開の物語 一度やめたものを復活させるのは大変だった

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  • 木村 祥一郎 木村石鹸工業株式会社 代表取締役社長
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「石鹸は原料の名称で、石鹸には液体も粉末もあって……」と説明しても、大半の人には、その意味が伝わりません。そもそも石鹸自体にそんなに興味もないので、 「(よくわからないけど)ふーん」で終わります。

三重県伊賀市にオープンした工場「IGA STUDIO PROJECT」内に専用のラボを開設し、研究を重ねた(写真:木村石鹸)

そんな場面に遭遇するたびに、 「石鹸」のフォーマットとして、もっとも多くの人になじみのある「固形」をつくっていないのは、石鹸屋としては足りていないのではないかと感じるようになりました。

屋号に「石鹸」という言葉が入っている以上、石鹸の可能性を広げ、石鹸について誰よりも詳しく、誰よりも石鹸をちゃんと使いたい! そこで、2024年に創業100周年を迎えるのを機に、「固形石鹸を復活させよう」と決断しました。

なんとかなるはずが、なんとかならなかった

このときは、固形石鹸の製造はそこまで大変ではないだろうと踏んでいました。手作業にはなるけれど、製造場所さえなんとかなればつくれるだろうと思っていたのです。

趣味で固形石鹸をつくられている方はたくさんいらっしゃいます。数人の工房とかで、手づくり固形石鹸を製造販売しているところも全国にいくつもあります。

僕らは固形石鹸はやっていなかったものの、釜焚き製法での石鹸づくりをずっと続けています。液体の石鹸も粉末の石鹸もつくっています。石鹸についての知見もちゃんとある。いわばプロです。固形石鹸も本気でやろうと思えば、すぐにできるはず、と考えていたのです。

しかし、やってみると失敗の連続。まさかこんなに時間と労力がかかるとは思いませんでした。

ほとんど加熱をすることなく高品質な石鹸をつくる「枠練りコールド製法」で製造。究極的にシンプルな処方で原料が持つ本来の保湿成分を残し、成分を生かした石鹸をつくることができるという(写真:木村石鹸)

何もかもゼロからだったので、製造に必要な器具もオリジナルで開発し、処方(油脂の選定や配合比率)も何度も製造してはテストを繰り返して形にしていきました。

気づいたら固形石鹸を復活させようと決断してから、7年の歳月が経ち……。こんなに大変だとわかっていたら、固形石鹸を復活させようなんて考えなかったかもしれません。

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