アメリカを主戦場に成長する核酸医薬市場で、裏方の舞台に商機を見いだす日本企業が増えている。その思惑とは。
宮城県大崎市、最寄り駅から車で15分の立地にある広大な敷地に、いくつもの建物が立ち並ぶ。
ここは、粘着テープやディスプレイ用の偏光板などを中心に事業展開する日東電工の東北事業所だ。医薬関連製品や医療衛生材料の製造拠点であるこの事務所で、「第3の医薬品」として成長が大きく期待される核酸医薬の重要な材料が日々作られている。
その材料とは、核酸合成で使われる「ポリマービーズ」。東北事業所で製造されたポリマービーズは、アメリカの工場で加工されたうえで製薬会社などへと販売される。世界で生産されている核酸医薬の実に約65%(品目数ベース、開発中のものを含む)が、ここで作られた日東電工のポリマービーズを使用している。
2024年度には東北事業所内に工場を新設し、ポリマービーズの生産能力を3倍に拡大させる計画だ。「核酸医薬は開発初期の品目数がここ2〜3年で想定以上に増え、患者数の多い病気を狙った品目も増加しているので、生産能力の手当てを急いでいる」。日東電工メディカル事業部の西尾信彦課長はそう話す。
粘着テープで培った技術が意外な用途に
日東電工が核酸医薬事業に参入したのは2005年。きっかけは、核酸医薬の世界的大手、アメリカのアイオニス・ファーマシューティカルズから声がかかったことだった。
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