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第一三共、乳がん治療薬に次ぐ基盤つくれるか 奥澤社長「組織強化でメガファーマに対抗」

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第一三共社長の奥澤宏幸氏
奥澤宏幸(おくざわ・ひろゆき)第一三共社長。1962年生まれ。86年一橋大学社会学部卒業、同年現第一三共入社。2018年執行役員、21年取締役常務執行役員などを経て23年4月から現職。(撮影:今井康一)
発売からわずか数年で第一三共の主力製品となった、乳がん治療薬「エンハーツ」。2024年3月期の売上高予想は前年比14%増の1兆4500億円で、そのうちエンハーツは約3700億円と、4分の1を占める見込みだ。今年4月に就任した奥澤宏幸社長に、今後の成長戦略について聞いた。

──今年4月、25年度までの中期経営計画で売上高を1兆6000億円から2兆円に、がん領域での売り上げを6000億円から9000億円へと上方修正しました。

数字の上乗せ分の大半は、エンハーツによるものだ。とくに影響が大きかったのは22年、HER2というタンパク質があまり発現しないタイプで、これまで治療法の限られていた患者群での有効性が得られたこと。臨床試験で得られたデータがすばらしく、学会発表では20年ぶりのスタンディングオベーションが起こったほど。医師や患者の方が承認を心待ちにする状況ができ、米国で承認を取得した後は、想像を超えた速さで市場浸透が進んだ。

エンハーツに用いたADC(抗体薬物複合体)技術は自社研究所で生まれたもので、05年の第一製薬と三共の経営統合シナジーを非常にわかりやすく象徴する事例だ。自社研究員への信頼や、自発性に任せた研究環境が、こうした結果に結び付いていると考える。

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