コロナワクチンでバブルのように市場が急拡大した核酸医薬。「第3の医薬品」として期待が高まる一方、普及には課題も。
「学会には何度も参加してきたが、人だかりで展示物が見えないほどの混み方は初めてだ」
国立医薬品食品衛生研究所の井上貴雄・遺伝子医薬部長は、7月中旬に名古屋で開かれた日本核酸医薬学会での様子に驚いた。コロナ禍で4年ぶりの現地開催となった会場は、過去にないほどの参加者であふれていたからだ。
8回目となる今回、コロナ前の2019年と比べ参加者は倍増し、研究機関や製薬企業、化学メーカーなどから約1000人が集まったという。
核酸医薬とは、遺伝情報となるデオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)といった「核酸」の投与によって、病気を治療・予防する医薬品のこと。従来治療が難しかった病気などの新薬を生み出す可能性がある技術として、いま期待が高まっている。ファイザーやモデルナの新型コロナワクチンに用いられ、一躍その名が知られることとなった「mRNA(メッセンジャーRNA)」という技術も、その1種だ。
承認薬の大半はアメリカ企業が開発
核酸医薬品の世界市場規模は、2020年に3600億円程度だったが、コロナワクチンの開発によって2021年には一気に6兆円を超えた(TPCマーケティングリサーチ調べ)。
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