サプリで満腹、なのに栄養失調の本末転倒 サプリ飲み過ぎライターを叱る(後編)

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田村:それは、どんな成分が入っているものですか?

タカハシ:さあ……、箱もないので。

田村:何が入っているかもわからないサプリを飲むなんて、怖すぎます(泣)。セントジョーンズワートなどのハーブ系サプリは、医薬品との相互作用があるものが多く、どんな成分がどういう効果を発揮しているのか明確ではないし、それらを飲み合わせることでどんな副作用が出るか、わかりません。

タカハシ:ついに私も怖くなってきました(笑)。

私、サプリメントには特殊な効果を期待するイメージがあるんです。だから、そういうハーブ系をいろいろ飲んでいたんです。

まずは食生活改善を

田村:ちなみに、食生活はどんな具合ですか?

タカハシ:ええっと……、基本的には簡単なものばかりです。朝の定番は納豆ご飯、昼はちゃんと料理しなきゃと思いつつ、カップ焼きそばとかインスタントで済ますことも。夜は、基本的に好きなものを食べます。

サプリだけでお茶碗1杯分くらい飲むので、けっこうお腹いっぱいになっちゃうんですよね。まぁ、サプリで効率的に栄養を摂っているから大丈夫っていう甘えもあって、食べるものにはあまり気を遣っていないかも。

田村:それはあまりに本末転倒……。サプリメントは、栄養補助食品です。たんぱく質、脂質、炭水化物という3大栄養素に、ミネラル、ビタミンという必須微量栄養素があって、栄養バランスがどうしても乱れてしまう場合に補強する形で飲むのが基本です。

まずは人間が生きていくうえで、取らないと死んでしまう栄養素をしっかり取ることが優先です。

タカハシ:私は飲まなくても死なないハーブ系のサプリに、大枚をはたいていたんですね(泣)。

田村:タカハシさんの話を聞いていると、冷や汗が出ます。ちょっと申し上げにくいですが、よく今までご無事に過ごしてこられたなと思うぐらい……。サプリの飲みすぎは、今、挙げたこと以外にも、添加物の大量摂取やアレルギーなど、いろいろな問題を引き起こします。まずは食生活を見直して、そのうえでどうしても飲むなら本当に必要なものを、最小限、必要な期間だけ飲むようにしていただきたいです。

タカハシ:ハイ……(声小さめ)。

(次回は「疲れたときのグイッと1本! その栄養ドリンクがあなたをドッと疲れさせる」です。お楽しみに)

田村 忠司 日本一サプリメントを真面目に考える男

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たむら ただし / Tamura Tadashi

日本一サプリメントを真面目に考える男。医療機関専門サプリメーカー、ヘルシーパス代表取締役社長。
1965年生まれ。富山県出身。1988年東京大学工学部産業機械工学科卒業。同年、株式会社リクルートに入社。10年間にわたり、通信事業を中心に経営戦略、新規事業立案、マーケティング戦略立案に従事。1998年「日本老化制御研究所」を擁する日研フード株式会社に入社。取締役経営企画室長、サプリメントの製造子会社の代表取締役社長として活動。2006年「医療従事者が自信を持って使えるサプリメントを提供してほしい」という医師、薬剤師からの要請に応え、医療機関専用サプリメントの専門メーカー、株式会社ヘルシーパスを設立。栄養療法に取り組む医師・歯科医師へのサポート・情報提供のため、日本全国を飛び回り、楽しく仕事に取り組んでいる。著作に『サプリメントの正体』(東洋経済新報社)、『健康長寿の栄養学ハンドブック』(日本アンチエイジング歯科学会編:草隆社)、『自由診療・サプリメント導入実践マニュアル』(医業経営研鑽会編:日本法令)がある。
 

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