実は金欠「オープンAI」の知られざる経営内容 売り上げ増ばかり注目されるが肝心の収支は…
書類によると、資金調達ラウンドを主導するスライブは例外的な特典も手にしている。2025年を通じて現在と同じ1500億ドルの企業評価額のままオープンAIに最大10億ドルを追加投資できるオプションだ。オープンAIの評価額が1年前の300億ドルから1500億ドルへと急上昇したことを考えると、これはおいしい特典となる可能性がある。
ほかの投資家には同じ条件が与えられておらず、この特別待遇に不満を抱いている投資家もいると2人の消息筋が語った。
(ニューヨーク・タイムズは昨年12月、AIシステムに関連したニュースコンテンツの著作権侵害でオープンAIとマイクロソフトを訴えている。)
枢要な幹部が立て続けに辞任
最近では3人の重要人物がオープンAIを去っており、同社の資金調達交渉はその影響を受ける可能性もある。最高技術責任者(CTO)のミラ・ムラティが9月25日に辞任すると、立て続けに最高研究責任者(CRO)のボブ・マグリューと研究担当副社長のバレット・ゾフも辞任した。
今回の資金調達協議は、オープンAIが自らを営利企業に作り替える作業とも重なった。オープンAIの現最高経営責任者(CEO)サム・アルトマン、テック界の大物イーロン・マスクをはじめとする何人かのテクノロジストは2015年に非営利の人工知能(AI)研究機関としてオープンAIを設立。その理事会が現在も同社の運営を管理している。
しかし、マスクが去って自らの資金を引き揚げた後、2018年にアルトマンは、AIの構築に必要な多額の資金を調達するため、オープンAIを半営利の「利益上限付き企業」に変えた。投資家に利益をもたらす組織形態だが、投資家へのリターンには上限が設けられ、投資家に説明責任を負わない非営利の理事会に管理される形となっている。
投資案件文書によると、今回の資金調達ラウンドの一環として、オープンAIが2年間の猶予期間で営利企業に転換しなければ、投資資金は負債に転換されることになる。
(執筆:Mike Isaac記者、Erin Griffith記者)
(C)2024 The New York Times
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