子どもの近視抑制対策は思うほど難しくない 「この子のため」と考えすぎると長く続かない

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ボーク:アメリカは州にもよりますが、13歳未満の子どもは一人で出歩いてはいけないなどといったルールがあります。日本の小学生は、学校の行き帰りだけでなく、電車にもバスにも一人で乗ったりできます。毎日同じ道かもしれませんが、道中たくさんの発見がある、それ自体がもう「遊び」ですよね。

窪田:日本は都市の作りがコンパクトなので、少し歩いただけでもどんどん景色が変わりますよね。しかも、同じ風景でも四季折々で表情がまったく異なります。それを探すこと気づくことも「遊び」と考えるのは斬新です。何よりも「遠くを見る」という目にもよい行動につながりますね。

ウォーキングは発見と自分の思考の整理もできる

ボーク:私は1日1回近所をパワーウォークするんです。これは私が楽しいからやっていますし、継続できています。外を歩くと、たとえ同じ道でも看板が変わっていたり、パン屋さんの品揃えが昨日と変わっていたり、毎日発見の連続です。「今日は何に出会えるかな」という好奇心があるから外に出たくなる。かつ、ウォーキングは自分の思考の整理もできるので一石何鳥にもなります。

お子さんと一緒に外に出て、「あれ、この看板、前と変わったかしら?」「パン屋さん、今日はたくさんパンが売れているね、どうしてかな」などと話してはどうでしょうか。親が外で好奇心を持って楽しんでいる姿を見ると、子どもも外に出ることが楽しくなると思います。

窪田:大人が不思議に思うこと、そしてそれを子どもに見せることも大事なのですね。

ボーク:そうですね、その大人の姿を見てその子なりに好奇心を育むようになります。非認知能力はこのような日常のちょっとしたことで高められます。かつ目にもよいと窪田先生のお墨付きをいただけましたし(笑)。

今の親たちは本当に日々忙しく過ごしています。ですが、毎日の送迎や買い物で外に出たときには意識を変えるだけでも屋外時間を充実させることは可能です。ぜひ試していただけたらと思います。

窪田:無理して公園に連れて行かなくても、頑張って週末にキャンプに連れて行かなくてもよい。非認知能力を高めるには親の心がけ次第、日常生活で十分に可能と知ることができました。

この「好奇心」が心身の健康の土台作りのキーワードになりそうですね。次回、このあたりをさらに深掘りしていきたいと思います。

(構成:石原聖子)

窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

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くぼた りょう / Ryo Kubota

慶應義塾大学医学部卒業。慶應大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている。

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ボーク 重子 ICF会員ライフコーチ/Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表

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ボーク しげこ / Shigeko Bork

米ワシントンDC在住。30歳の誕生日前に渡英、サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートにて現代美術史の修士号を取得。1998年渡米し、出産。子育てと並行して自身のキャリアを積み上げ、2004年にアジア現代アート専門ギャラリーをオープン。2006年、ワシントニアン誌上で「ワシントンの美しい25人」の一人として紹介される。また、一人娘であるスカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝し、多くのメディアで取り上げられた。著書に『世界最高の子育て』『「非認知能力」の育て方』など。

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