タバコ会社は、有害性を隠して、カウボーイなどのイメージを使ってタバコを売りつけ、男性に行き渡ると、次は女性に吸わせようとしていきました。
それに対抗する反タバコのキャンペーンは、非常に苦労した歴史があり、反SNSキャンペーンも、同じようなことになるだろうと言われています。
今では、タバコもずいぶん減り、変わっていきましたが、それを売ればおカネが儲かるということを、どう制御することができるのか。それはまだわかりません。
消費者が賢くなれと言っても難しいところがあります。ちゃんと子どもたちを守れるように、政治を含めた大きな力で押し戻せるかどうかが課題だと私は思います。
ダンバー氏などの人類学者は、こういった今の我々の世界について、いろいろな意味合いから「これが当たり前ではないんだよ」ということを伝えようとがんばっているわけです。
必要なのは進化についてのリテラシー
西欧には、キリスト教神学的に、人間は神が作ったものであり、動物は人間以下のものとされています。魚類から進化して、その頂上に人間がいて、それより上に天使、その上に神がいるというハシゴ型の考え方があるのです。
ですから、19世紀の西欧では「人間はチンパンジーと近く、もともと猿だった」と言うと、宗教的な猛反発があり、ダーウィンはそのために苦労しました。
しかし、日本では「人間はもともと猿だった」と言っても、誰も反発しません。進化とはこういうものだと聞くと、「そうか」と思って、それ以上考えることがないからです。
日本では、ダーウィンの「進化論」を誤読した考えが広まっていて、「種の保存」という考えが誤りであることが世界では常識にもなっているのですが、それをいくら言っても、誤りが消えません。反発しない代わりに、どうでもいいというのが日本なのです。
また、中国では「北京原人、我らが祖先」と言って、北京の博物館に北京原人の像を建てています。実際には、北京原人は現生人類の祖先ではないのですが、イデオロギーとして取り込んでしまった。そして「自分たちは世界で最も古い人類だ」と間違ったことを言っているわけです。
だから、リテラシーが必要なのです。30万年のサピエンスの進化史の中で、最近1万年の中の、最後の100年で起こっているようなことは、タイムスパンを長くとって見直すことが重要なのです。
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