ニュース報道の現場から伝える「気候変動問題」 求められる「提案型ジャーナリズム」

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こうした秋田県の洋上風力発電などの取り組みを伝える秋田朝日放送の特別番組「トレタテ!報道スペシャル 洋上風力の挑戦者たち~秋田発エネルギー革命~」(2023年)の制作に協力しました。その後も、秋田朝日放送との意見交換や情報交流を続けました。

求められているのは「提案型ジャーナリズム」

今、メディアが気候変動対策を視聴者に伝えるうえで必要なのは「提案型ジャーナリズム」だと考えています。メディアは批判的に物事を捉えます。もちろんそれは重要な役割ですが、人の失敗を取り上げて批判ばかりしていると、新しく何かに挑戦しようとする人たちが萎縮してしまう可能性があります。

地元の人たちが主体となり気候変動対策をしながら地域経済を活性化している――こうした成功事例に光を当て放送することにより、「新しいことに挑戦する社会」の実現に繋げられないかと模索しています。視聴した人がポジティブな気持ちになれるような番組づくりは、テレビ報道だからこそできることの一つではないでしょうか。

私はアナウンサーという職種上、常に視聴者が前向きになれるような言葉を発信したいと、日々心がけています。気候変動対策を少しでもポジティブに捉え「自分も何か小さいことでよいから、できることから取り組み始めよう」と感じてもらえるような伝え方をしたいと思っています。

ある世論調査では、世界全体では6割の人が気候変動対策は生活を豊かにすると捉えているのに対して、日本では逆に6割の人が気候変動対策は負担だと感じているという結果が示されています。だからこそ、気候変動対策に取り組むメリットを具体的に示していく必要があります。

再エネを開発することが地域や企業の成長に繋がったり、住民側の支払う電気代が長期的に抑えられたりすることを伝えるべきです。例えば、沖縄県宮古島の太陽光発電と蓄電池に関する特集では、利用者の経済的メリットだけではなく、「災害時にも安心できる」というメリットを強調しました。

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