石破茂「裏切り者」新総裁、ネットウケは悪くない訳 自民内では不人気だった、ゲル長官のこれまで
今回の総裁選では、高市氏のSNS人気が、かなり高まっていた。発信力のある「応援団」の存在が、その原動力になったと考えているが、反面、他陣営やその支持者に攻撃的な投稿も多数見られていたのも事実だ。
こうしたユーザーは、決選投票で逆転当選となったことで、石破氏への反感がより高まったのではないか。中には「自民党に失望した」と嘆く声も珍しくない。前総裁の岸田文雄首相が、退任表明会見で「真のドリームチーム」による挙党体制を求めたのと反して、石破氏の就任で離れた自民党支持者もいるようだ。
石破氏とネットの親和性
このように、今回の総裁選は、SNS面では「高市氏勝利」とも言える状態だった。しかしながら、これまでの「ネット政治史」を振り返ると、石破氏のほうが、より親和性の高さを感じる。筆者の記憶する限り、ネット上で「適度にイジれる政治家」として位置づけられた、初期の政治家ではないだろうか。
石破氏が一般的に知られるようになったのは、「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」(日本テレビ系)での「爆笑問題」太田光さんらとの討論からだっただろうか。「太田総理」がレギュラー放送されていたのは2006年から2010年だが、それ以前からネット上では「ゲル長官」の愛称で知られていた。
ゲル長官とは「いしばしげる」が「石橋ゲル」と変換できることから、防衛庁長官時代に付いたニックネームで、ネット掲示板「2ちゃんねる」(後の5ちゃんねる)などでは、この呼び名で親しまれていた。
石破氏はある種の「ネタキャラ」として位置づけられており、それが親しみを醸し出してきた。2018年にはイベントで、人気マンガ『ドラゴンボール』のキャラクター「魔人ブウ」のコスプレに身を包んだ。今回の「首相内定」によって、その当時の画像が再び脚光を浴びているが、拡散される根底には、十余年におよぶ「イジられポジション」の歴史があるように思える。
ちなみに「ゲル」と前後して、ネットで普及した有名政治家のあだ名が「ローゼン閣下」だ。マンガ好きで知られる麻生太郎氏が『ローゼンメイデン』を読んでいたのではないかとのウワサから「ローゼン麻生」などと呼ばれるようになった。
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