石破茂「裏切り者」新総裁、ネットウケは悪くない訳 自民内では不人気だった、ゲル長官のこれまで
世襲かつ地方創生に軸足を置く姿勢からも、どこかハコモノ行政や、バラマキ政策を思い起こす人は多いだろう。今回の総裁選にあたっては、SNS上の「縦型動画」や、noteを導入するなど、デジタル面にも注力し始めたが、どこか本人よりも陣営の意向に感じられてしまう。
自民党からの離党が、今でも「裏切り者」とされている
ネットに情報があふれる時代では、「ブーメラン」となる過去発言が掘り返されやすいことも、足を引っ張りかねない。石破氏は1993年、自民党を離党して、新生党へ移籍。その後進となる新進党を経て、1997年に復党したが、永田町では30年近くたっても「裏切り者」とされているという。
おそらく本人としては、熟慮した上での判断だったのだろうが、周囲に「ブレ」と感じさせる言動は、デジタルタトゥー(ネットなどに残る痕跡)の発掘が前提となる現代社会において、あまり得策ではない。
新総裁となった石破氏は、首相就任後、早期の衆院解散を表明した。しかし、かつて石破氏が、安易な衆院解散に否定的な立場を示していたことから、野党から言動不一致なのではとの指摘を受けている。これもまた、「原典に当たりやすいSNS時代」だからこそ、すぐに発掘され、拡散されてしまう。
経済政策が不安視され、開票日直前に岸田路線を踏襲すると表明したことも、よく言えば「柔軟」だが、悪く言えば「日和見」や「変節」となる。株式市場がご祝儀相場にならないのも、そういう雰囲気が漂っているからだろう。
昨今のSNSでは、高市氏や石丸伸二前広島県安芸高田市長のように、ハッキリとした物言いと親和性が高い。小泉純一郎政権でワンフレーズ・ポリティクスが話題になったが、「タイパ重視」の現代は、より当時よりも切り抜きやすい発言を求める。
つまり、いまは「ゲル・ローゼン時代」とは違い、共通のコンテクストを持ちながら、腰を据えて、じっくり語るスタイルは、あまり求められていない。
とはいえ、時代の変化は目まぐるしく、いつまた風が吹いてくるかわからない。ほどよいタイミングで「イジられ宰相」が望まれるようになれば、意外と石破氏も長期政権になるのではないか。
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