石破茂「裏切り者」新総裁、ネットウケは悪くない訳 自民内では不人気だった、ゲル長官のこれまで

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なぜ親しまれたのかを考えると、そこに今後の「ネットウケ」に向けてのヒントが見えてきそうだ。あくまで個人的な考察でしかないが、その頃の2ちゃんねるは「リアルな友人には言えない、内に秘めた思いを打ち明ける場所」といった立ち位置だった。

筆者は当時、中学生から高校生となる時期だったが、その頃はまだネット掲示板にはアンダーグラウンドなイメージが残り、あまり「2ちゃんねるを見ている」と公言できない雰囲気があった。

「オタク」のシンパシーを感じたネット民

そうしたネット民が、軍事はもちろん、鉄道やキャンディーズの「オタク」として知られる石破氏に、シンパシーを感じたのではないか。武骨な求道者ゆえに、なかなか周囲には理解されない様子に、ネットユーザーは自らと重ね合わせ、勝手に親しみを覚えた……。

少し考えすぎかもしれないが、石破氏しかり麻生氏しかり、愛称が付いた背景には、どこか「俺たちの代表」としての思いが込められていたように思える。

会見で、笑顔を見せる石破茂氏(写真:© 2024 Bloomberg Finance LP)

それから10年以上がたち、ネット世論の中心は、2ちゃんねるから、ツイッター(X)などへと移った。各投稿はアルゴリズムによって出し分けられるようになり、ユーザーに協調したコンテンツに出会いやすくなった反面で、異なる意見と出会う機会は少なくなり、分断を生んだ。おそらく今後、「ゲル」や「ローゼン」のような形で、ネットで話題になる政治家は生まれないようにも思える。

とはいっても、石破氏そのものに視線を戻すと、どこか「古い政治」の面影がちらつく。鳥取県知事や自治相などを歴任した父親の死を受けて、田中角栄元首相から政界入りを誘われた。1986年に衆院初当選し、現在までに当選12回を重ねている。小沢一郎氏が18回、麻生太郎氏が14回、二階俊博氏が13回と考えると、かなりのベテランだ。「昭和の自民党」の系譜にあることは間違いない。

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