合成ポルノ画像を拡散、韓国「新手の性犯罪」の闇 根の深い問題に政府はどこまで立ち向かえるか
だが、多くの女性にとってこうしたディープフェイクは、韓国に根強く残る女性蔑視のオンライン表現の新形態に過ぎない。以前から存在する女性蔑視の文化が、ネット上で女性を性的に辱める画像を共有することが楽しいと考える若い男性を生み出しているということだ。
「韓国社会は女性を同胞扱いしていない」と大学生のイ・ユジンさんは言う。彼女が通う大学は、学生が被害に遭った何百という中学、高校、大学のうちの1つ。イさんは、「友だちの写真を盗んで性的屈辱を与えることがデジタル文化となる前に」政府はなぜもっと対策を講じなかったのかと問いかける。
問題の最先端に立つ韓国
オンライン上での性暴力は世界的に深刻化している問題だが、韓国はその最先端に立っている。韓国がディープフェイク問題にうまく対処できるかどうか、またどのように対処するかに、他国の政策立案者や学校関係者、法執行機関が注目している。
韓国には時折表面化する性犯罪の闇がある。ある韓国人は世界最大級の児童ポルノサイトを運営していたとして有罪判決を受けた。ナイトクラブを通じて売春を斡旋したとして有罪判決を受けたK-POPの芸能人もいる。警察は長年にわたり盗撮ポルノとの闘いを続けている。
2020年に捜査を受けた脅迫グループの首謀者は、10代の少女を含む若い女性を誘い出し、動画を撮影し、テレグラムのチャットルームを通じてオンライン販売したとして、懲役40年の判決を受けた。
そして使いやすいディープフェイク技術が台頭したことで、このような性暴力の形に新たな陰湿さが付け加わることになった。被害者は匿名のメッセージを受け取るか警察から電話があるまで、自分が被害者であることに気づかないことが多い。