給付削減に向けた年金改革、楽観的な経済前提を見直し、真の財政見通しを示せ

給付削減に向けた年金改革、楽観的な経済前提を見直し、真の財政見通しを示せ

公的年金をもらっている人は、来年以降、これまで以上の給付額引き下げを覚悟しなければならないだろう。来年1月から始まる国会に提出される年金関連法案に、「特例水準解消」が盛り込まれる見通しになったからだ。

特例水準解消とは、現在もらっている年金額が特例的に高くなっているため、それを解消することだ。公的年金には、「物価スライド」の原則がある。ところが、デフレにもかかわらず年金額を下げなかった年や、下げ幅を小さくした年が過去にあり、現時点では本来の水準よりも2・5%ほど高くなっている。この特例水準を3~5年かけて本来の水準まで下げようというのである。

来年の年金関連法案には盛り込まれない見通しだが、これ以外にも国民に負担を強いる改革として、「マクロ経済スライド」の適用や、支給開始年齢の引き上げなどが浮上している。これらの改革は、いずれも年金額を減らすことが狙いだ。

背景には、少子高齢化の進行で急速に悪化する公的年金財政がある。

「100年安心」は本当か

わが国の公的年金は、いわゆる賦課方式を基本にしている。現役世代の払った保険料を原資として、現在の受給者の年金を払っているわけだ。少子高齢化が進めば当然、年金財政は苦しくなる。現役世代と受給世代の比率は、現在およそ3対1だが、将来はこれが1対1になる。

少子高齢化に対応して、政府もこれまでさまざまな年金制度改革を行ってきた。2000年の改革では、厚生年金の支給開始年齢を段階的に60歳から65歳に引き上げることを決定。04年には、保険料の引き上げや、年金額を抑制する「マクロ経済スライド」の導入を決めている。

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