リンガーハットといえば国産食材を使っているイメージが強いですが、意外にも転換期となったのは2009年と、15年前。日本フードサービス協会の会長を務めることになった米濵さんが全国の農家をまわる中で国産野菜の魅力に改めて気付き、自社メニューへ生かすことをトップダウンで決断したそうです。
時を同じくして、そのころから増やし始めたショッピングモール内の店舗を中心に女性やファミリー層の利用者が増え、安心かつ栄養をとれる国産野菜を軸にしたメニュー構成とマッチ。今では男女の差はほとんど見られないというほど、幅広い客層に支持されるチェーンとなりました。
「トヨタ仕込み」の徹底した効率化 工場には60個の炊飯器がずらりと並ぶ
リンガーハットがチャーハンを提供し始めたタイミングについて、詳細な時期は不明とした上で、三宅さんは「それなりに歴史の長いメニュー」と話します。
もともとはちゃんぽんとぎょうざを軸にしており、そこに皿うどんが加わったのち、チャーハンも提供を始めたとか。もともとハーフサイズであったものの、分かりやすさを高めるために2019年のメニュー改定で「半チャーハン」に名前を改めました。ちなみに、今は提供していませんが、かつてはご飯ものとしておにぎりを販売していたこともあるそうです。
チャーハンで意識している点について、愛川真由さん(管理部 経営管理チーム 広報担当)からは「ちゃんぽんと一緒に、両方をおいしく感じてもらえるようにしています」との答えが返ってきました。味付けのベースは醤油で、オニオンオイルを使いながら、和風のテイストを出しつつ、優しい口当たりにしているそうです。
何より特徴的なのは、製法でしょう。リンガーハットの半チャーハンは、20年ほど前に外部仕入れから自社製造に切り替え、国内の工場で独特な作り方をしています。
まず、炊飯では大きな機械を使うのではなく、市販の炊飯器60個を使い、1時間で1分ごとに60回炊き上げるような運用をとっています。炊飯器1個につき、炊く米の量は1.4キロ。米とベーコンを一緒に炊き込むことで、うま味を吸ったご飯になるようにしているそうです。
炊きあがったご飯は専用の釜に入れて、一気に炒めます。回転しながら炒めることで適度に水分を飛ばし、チャーハンらしいパラパラとした食感を出せるようにしているといいます。それと並行して溶き卵も炒め、最後に調味料と一緒にご飯と混ぜることで完成。パラパラ感を損なわず、ダマにならないよう1食ずつ平らに急速冷凍して、店舗へ配送します。
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