英語独習は「読む力」から鍛えたほうがうまくいく 日本人が英語を話せないのは読解偏重のせいではない
文学作品には、まさにそのタイプの表現があふれているため、中級レベルの人が一歩先を目指して訓練する際の素材としてうってつけなのです。もちろん、その分、難しさもありますが、少し苦戦したとしても、ストーリーや作品自体に関する背景知識の助けを借りながら読み進めることができるでしょう。
結局、英語学習は楽しくないと続かない
リーディング教材として英語圏の文学作品を選ぶ大きなメリットとして、「飽きずにできる」というところがあります。たとえば、次の文章を読んでみてください。『足長おじさん』の原典Daddy-Long-Legsからの抜粋で、これも先ほど紹介したProject Gutenberg:Free eBooksで読むことができます。
難しい文法や単語は使用されていないので、一見、取り組みやすそうです。しかし、第2文の茶目っ気のある描写を雰囲気まで含めて味わおうとすると、意外と難しいのではないでしょうか。
この文を面白くしているポイントは2つあります、1つは「秘密を漏らす、漏らさない」ということを表現するのに、secretのような文字どおりの語句を使わずに、let the cat out of the bag「うっかり秘密を漏らす」というイディオムを下敷きにした言い回しが用いられている点。
もう1つは、almost…when~という行動や判断における咄嗟の変化を描写する表現が用いられている点です。この2つが組み合わさることで、危うく飛び出してしまうところだった猫のしっぽをなんとかつかんでカバンに引き戻した情景(比喩)が浮かび上がり、すべてを言ってしまいそうになったギリギリのところでハッとして思いとどまった臨場感が、ユーモア交じりにありありと伝わってきます。「上手いこと言うなあ」と、思わずニヤッとしてしまう表現です。
知識が増えれば増えるほど、英語圏の文学を翻訳者の解釈に頼らず深く味わうことができます。そして、「勉強」という感覚から次第に読書や映画鑑賞と同じ「嗜む」感覚へと変化していきます。英語小説のリーディングを通して、この「沼」にハマることが日本人の英語習得を飛躍的に推し進めるカギとなるのではないでしょうか。
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