「ハムレット」主人公がほぼツイ廃なのに名作の訳 シェイクスピアはパクリの天才だった?
そんな作品が、なぜ名作になったのでしょうか。
実は、そんなうじうじ悩みまくるハムレットに、お客さんが感情移入しちゃうんです。ああでもない、こうでもない、「生きるべきか、死ぬべきか」、やろうか、やるまいか……そんなお悩み相談を聞いているようなものです。
聞いているうちに、ハムレットが悩みを抱える友だちのように見えてきます。もしかしたら、当時の劇場では「ハムレット、悩んでないで行っちゃえよ!」。そんな言葉が飛んでいたかもしれません。
シェイクスピアならではの「劇中劇」の使い方
『スペインの悲劇』と『ハムレット』のもう1つの大きな違いは、劇中劇の使い方です。劇中劇とは、文字通り、物語の中で、登場人物たちによって演劇が行われること。観客が観ている劇の中で、劇が上演されます。これもシェイクスピアが好んで使った手法です。
『スペインの悲劇』では、劇中劇は復讐の手段として利用されますが、『ハムレット』では、劇中劇が真実を暴くための重要な場面として描かれていて、ハムレットの葛藤をさらに深める要素として機能します。
同じ手法が使われているのに、物語におけるキャラの性質が変われば全く意味や質が変わるんですね。『ハムレット』の劇中劇はすごくスリリングで、観る者をグッと惹きつける物語の山場となっているので、ぜひ読んで/観てみてください。
うじうじ悩み続ける主人公をひたすらに描く『ハムレット』は、「文学のモナ・リザ」とも言われ、シェイクスピアの最高傑作とされます。時代の変化を見据えた作品とさえ言われます。かっこいい英雄的主人公をドラマティックに描くのではなく、等身大の人間が苦悩するさまを徹底的にリアルに描いたからこそ、時代を超えて現代の私たちにも響く内容になったのです。
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