「ハムレット」主人公がほぼツイ廃なのに名作の訳 シェイクスピアはパクリの天才だった?

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これがシェイクスピアの四大悲劇の1つ『オセロー』のあらすじですが、実は、この作品にも原作はあり、ジラルディ・チンツィオの『百物語』の中にある話がもとになったと言われています。しかし、実は、原作には「嫉妬」ということばはたった一度しか出てきません。

登場人物やあらすじはだいたい同じで不幸な話なんですが、ここに、シェイクスピアは「嫉妬」というテーマを加えたのです。実際、『オセロー』の中には「嫉妬」というワードがめちゃくちゃいっぱい出てきます。

原作をもとにしながらも、人間の普遍的な感情を作品のテーマとしたことで、世界中の人が読み、上演され続ける名作になりました。ここでの一滴のシェイクスピア・エッセンスは、「嫉妬」。素晴らしいアイディアですよね。

主人公がキャラ強めな『ハムレット』

シェイクスピアが原作をアレンジするときによくやる、もう1つのパターンが、キャラ設定をめちゃめちゃ強くする、というものです。代表的な作品が『ハムレット』です。

シェイクスピアの代表作ですが、これにも原作があると言われています。『スペインの悲劇』という戯曲が影響を与えたとされていますが、原作の主人公は、そんなにキャラは濃くなく、名前もハムレットではなく、ヒエロニモでした。

『スペインの悲劇』の主人公ヒエロニモは、息子の死に対する復讐に燃える、単純明快なキャラクターです。彼の行動は直線的です。

一方、ハムレットは哲学的かつ内省的なキャラクターで、父の死後、母が叔父と再婚したことを嫌悪し、叔父へ復讐しようかどうかと絶えず悩み続けます。彼の行動は一貫性に欠け、優柔不断で、いつもうじうじしています。

もともとは単純だったキャラクターに、シェイクスピアはハムレットという名前を与え、ひたすら独り言を言いまくる人物として造形しました。

でも、独り言をつぶやき続ける主人公なんて、全然主人公らしくないですよね。ふつうに考えてエンタメにならないような気がします。一日中SNSでつぶやいてるようなもんです。実際上演するときも、5分から10分ぐらいの長い独り言が、計8回入ります。ずーっとぐちぐち、なよなよしてるんです。

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