やよい軒「色とりどりの味噌かつ煮」味変の魅力 「時々無性に食べたくなる」「ご飯が進みすぎる」

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さて、ここであらためてやよい軒の紹介です。

やよい軒の歴史をさかのぼると、意外にも西洋料理に突き当たります。やよい軒を運営するプレナス創業者・塩井末幸さんの祖父である民次郎さんは、もともと築地精養軒の2代目料理長でした。そこで腕を磨き、1886年に東京・南茅場町で西洋料理店「彌生軒」をオープンします。この彌生軒の名が、やよい軒に引き継がれています。

そんなやよい軒の人気メニューは「しょうが焼定食」「肉野菜炒め定食」「チキン南蛮定食」「から揚げ定食」が不動の四天王です。プレナスの後藤大輔さん(コーポレートコミュニケーション室)によると、ヘビーユーザーは30~40代の男性だそうです。ここをメインターゲットとして来店頻度を維持しつつ、若年層や女性客、より高齢の層も取り込めるように、日々のメニュー開発で意識しているといいます。

その他、やよい軒では日本食の定食として「一汁三菜」を意識していると後藤さんは話します。やよい軒の前身チェーンである「めしや丼」ではその名の通り丼メニューがメインでしたが、やよい軒へのリニューアルを機に、バラエティー豊かな定食として、ご飯をおいしく食べてもらえるように工夫しているそうです。

やよい軒
ご飯のおかわりスペースには、だしと漬け物も用意(筆者撮影)

もちろんご飯にも工夫を凝らしています。国内に4つの精米工場があり、各地から仕入れた玄米を独自基準で検査。その上で、玄米の栄養を残しつつも、白米のような食感の無洗米「金芽米」として精米しています。

精米したものは店舗に届いたのち、全て現場で炊飯しているといいます。使用しているのはガス窯。また、いつでも炊きたてに近い状態で提供できるよう、あえて1回の炊きあがりが約10キロと、小規模に小刻みに炊飯しているそうです。

こうした工夫もあって「やよい軒のご飯は美味しい、と評価いただくことも多いです」と後藤さんはうれしそうに話します。ちなみに、やよい軒とほっともっとなどを含めた、グループ全体における米の消費量は年間約4万トン。同社によると、これは日本国内の消費量のうち0.5%を占めるとか。また、最近では農業の課題解決の一助となるために、スマート農業を軸にした米の自社生産も始めており、今年度は約200トンの生産を見込んでいます。こうした徹底した米に向き合う姿勢には驚かされます。

味の根底は変えない一方、丼から陶板へアップデートも

今回のメインテーマである味噌かつ煮定食が登場したのはいつだったのでしょうか。後藤さんによると、やよい軒以前のめしや丼時代から提供していたそうです。ただ、当時は丼での提供でした。やよい軒へのリニューアルとともに、現在のような陶板での提供スタイルになりました。

味噌だれで意識しているのは、やはりご飯が進む味付けにすること。赤味噌や豆板醤をブレンドして、味噌の甘みとともに、辛みが引き立つように工夫しています。また、半熟卵は生卵をかつと一緒に煮込み、絡めて食べるとさらに味の深みが出るような設計にしているそうです。

後藤さんによると、基本的な味付け自体は販売当初から変えていないとのこと。長年提供しているからこそ「食べたときに、懐かしさを感じてもらえるようなメニューにしたいと考えています」と狙いを話します。

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