岸田政権が国連演説で見せた「政治的リアリズム」 したたかに「アメリカの弱体化」を見越していた

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まず中長期的には、「もしトラ」になっても、民主党政権が続いても、大きな違いはないはずで、アメリカは自国中心主義(アメリカ・ファースト)にどんどんなっていくと考えられます。

ただ、短期的には、トランプになったほうがそのプロセスがよく見えて、アメリカ・ファーストはわかりやすく加速化するでしょう。ですから、むしろ私はトランプが大統領になったほうがいいと思っています。

トランプはバイデンやカマラ・ハリスと違って、民主主義を守るなどというイデオロギーをかざすことなく、労働者階級の仕事の確保と、自国中心主義を打ち出すので、短期的にはアメリカの政治は大きく変化します。ただし、民主党も中長期的には、結局トランプの目指した方向に向かうと思います。

とにかく日本にとっては、アメリカの自国中心主義から生じそうな問題を早く明らかにして、対処をしたほうがいいことはたしかです。

そうした対処を怠ることは、「健康診断は義務ではないから拒否することができる」と言って、いつまでも健康診断を受けない人が会社にいるのと同じです。

問題が見えないままになっているよりも、トランプによる健康診断を受けて(政治的なスタンスの総合チェックを受けて)、病巣はさっさと切り取ったほうがいいということです。

日本はアメリカの「都合のよい財布」になるだけ

不適切なたとえとそしりを受けることを承知で、日本とアメリカの関係を広域暴力団の総本部(本家)と二次団体(直参)の関係のアナロジーとして説明してみましょう。

アメリカ組という巨大な組では、今、縄張りが狭まってしのぎが厳しくなっています。その縄張りが狭まっているということで、直参である、特に日本組とドイツ組は、まだ集金力を使い果たしていないので、アメリカから"負担"の要求が増えています。

負担とは、上納金の増加と本部当番や地回り(防衛協力の強化)のことです。

そうすると、頭の回転の速い直参組長だと、総本部(本家)が今一つ調子がよくないということに気づき、この後自分たちはどう生き残っていったらいいかを考えます。

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