紫式部が感じた「中宮・彰子」が女房達に抱く葛藤 おしとやかな性格のため、周りの女房も控えめ
紫式部は、小少将の君(源時通の娘)についても「上品で優雅。シダレヤナギのような風情。姿形は可愛らしく、物腰は奥ゆかしい。性格は控えめだ。人付き合いをとても恥ずかしがる。こちらが見ていられないほど、子どもっぽい。もし意地悪な人がいて、悪口を言われたりしたら、くよくよ悩み込んでしまうような、か弱くどうしようもないところがあるのが、とても気にかかる」と評しています。
小少将の君を、紫式部は自分の妹のような、いや、もしかしたら、我が子のように見ていたのかもしれません。
中宮に仕える女房の中で、紫式部がひときわ「綺麗」だと思っていたのが、小大輔や源式部(源重文の娘)でした。
小大輔は、髪が美しく、とても豊かで、背丈より一尺以上長かったとのこと。しかし、「今は抜けて分量が少なくなっていた」ようです。これは、少し余計な記載でしょうか。紫式部曰く「外見で直すところはない」そうです。
源式部は、身長が高く、顔立ちは端正。「見れば見るほど素敵」なんだとか。可愛らしい感じで、どこか爽やかな、お嬢様のような雰囲気があったようです。
紫式部は同僚たちの姿形の感想をあれこれ書いていますが、女房たちの「性格」についても触れています。紫式部曰く「人それぞれ、ひどくまずい人はいない」とのこと。
とは言え、抜群に素敵で、落ち着いていて、才覚も教養・風情もあり、仕事もできて……というように、すべてを兼ね備えている人は、なかなかいないと記しています。
中宮付きの女房たちは「お嬢様のよう」
人のことをあれこれ言う「上から目線」であることを、紫式部自身も自覚しているようで「本当に偉そうな口ぶりですね」とも述べています。
さて、紫式部は中宮のことにも少し触れています。
「中宮様は御気性として、色ごとを軽薄だとお考えでいらっしゃる」と述べています。そのため中宮付きの女房の中には、そう簡単に人前に出てこない人もいるようです。特に上臈・中臈(※平安時代の女房の序列。上から、上臈、中臈、下臈と、序列があった)辺りの女房が「あまりにも奥に引っ込んで、お嬢様めかしている」と紫式部は記します。
中臈だった紫式部は「そんな仕え方ばかりしていては、中宮様のためのお飾りではないのですから、見苦しい」とも述べているので、自分より序列が高い女房に対する批判が込められていると言えましょう。
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