――それはあらゆるコミュニケーションの中でいえることですね。
そうです。人の足を引っ張ったり、陰口をたたいたりする「女度」の高い人をみていると、何かしら傷ついた存在だということも感じます。コミュニケーションをとりながら、彼女たちをありのまま受け入れ、認めていくことができれば、傷を「癒す」ことができます。そうすると自然とそうした悪い言動も減っていく。
――相手のことを思う余裕や広い視野が必要だと。
小さい子どもを抱えながら仕事をしていると、余裕がなく些細なことが気になってしまうかもしれませんが、仕事も育児もできているなんて、とても恵まれていること。
さらによく考えてみれば、時短勤務ができて、子どもが病気だからといって休めるのは、独身の人たちなどが頑張ってくれているから。そこが見えれば、ライフスタイルの違いで敵対関係にならず、むしろ感謝できる関係になる。
育児だって、「将来あなたたちの年金を支えるのはうちの子です」くらいの気持ちで堂々とすればいい。育児のため早く帰宅することに罪悪感を持つ必要なんてありません。育児と仕事の両立はその程度の気持ちで十分だと思います。肩の力を抜いて、自分のやりたいことをすればいい。人生の時間は限られているのですから。
悩んだ時に参考にしたい人間関係の処方箋
ケース別のキーワードを覚えておこう
●職場:キーワード「見ないようにする」
職場の人間関係は仕事の上の付き合いと割り切って淡白に対応するのがコツ。同僚の価値観や人間性など、どこまでも深堀りできそうなものからは遠ざかる。「自分は子どもを産んだけど同僚のあの人は不妊で悩んでいる」、「時短で早帰りする自分は、陰口を叩かれているらしい」といったことも、気にするとキリがないので「見ないようにする」。
ただし、「人は他人から嫌われるリスクが一定程度ある」ことを知っておくべき。無理して他人に合わせて嫌われるくらいなら、人に気を遣わずに生きた結果、一定程度の人に嫌われるほうがいい。生き方そのものが人をいらだたせるのはよくあること。でもそれは嫌う人たちの事情なので、自分が関知する必要はない。
●ママ友:キーワード「ママ友は職場の同僚と思え」
女度が高く、何かと比較したがる人はどこにでもいるので、とにかく「見ないようにする」が基本。意識すべきは、あくまでも保護者同士の付き合いという点。「ママ“友”」という言葉に惑わされず、社会的役割と捉え、職場の同僚と同じ感覚で付き合うこと。
●子ども:キーワード「子どもにどういう親として概念化してもらうかを考える」
「親は子どもに自分の時間や人生を捧げるべき」という価値観に縛られ、罪悪感を持ちながら子どもの側にいる場合は要注意。親の愛情を十分感じられる程度には一緒にいるべきだが、そこから先は手作りだのやたらと手をかけることより、「どういう親として概念化してもらうか」を意識して接することが大事。子どもにきちんと母親像を定義づけられれば、大きな問題は起こらないもの。
●母・義母:キーワード「慣らし」
親子間では、仕事と家庭をめぐる価値観の違いが問題になることが多いが、世代が異なり価値観に齟齬(そご)が生じても、結局のところ人は状況に慣れていく。時代は進むものと割り切り、家事・育児は母からのヘルプがあればラッキーくらいに思うとよい。
相手が義母の場合も同じ。ただし一度反対されただけで「うちの姑は絶対に認めない人」と思い込むのはよくない。何事も関係性ができるまでにはプロセスがあるということを肝に銘じ、最初の反応を引きずらず何回も小出しにしていくのがコツ。
反対されたことには「急に言われたから驚いたのかな? でも自分はこうやって生きていきたいから、何回も球を投げていこう」くらいの感覚で臨むのがいい。
著者フォローすると、須賀 華子さんの最新記事をメールでお知らせします。
著者フォロー
フォローした著者の最新記事が公開されると、メールでお知らせします。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。
すが はなこ
津田塾大学卒業後、編集プロダクションに勤務し、母子保健分野の編集を行う。退職後北京大学社会学部へ留学。社会医療・福祉を学ぶかたわら、日本語学習本の執筆、翻訳に従事。帰国後、主婦向けウェブメディアの編集を経て、女性の生活・生き方、育児などをテーマに取材をしている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら