シングルマザーには「起業家」という道がある 「不安」は新しい挑戦への強力な原動力だ

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「不安を対処するために複数の仕事を掛け持ちしたり、つねに新しいことを吸収し続けたりしてきた気がします」と大崎弘子さん。シングルマザー起業家にとっては不安さえも原動力だった

専業主婦が再び社会に出て働き始めるには、いくつかのハードルが待ち受ける。離職期間が長いほど、そのハードルは高くなる。採用をためらう企業がいまだに多いことも一つだが、それ以上に、その一歩をなかなか踏み出せないという本人の心の問題も大きいのではないだろうか。

現在、関西で活躍する2人の女性起業家も、元は専業主婦だった。離婚によって働かざるをえない状況になり、スタートは何もないところからの仕事探しだ。そこから起業に至るまでの原動力とは何だったのか。

身を助けたのは経理とITのスキル

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大阪中央区にある「オオサカンスペース」は、関西でいま最も注目されているコワーキングスペースの一つだ。エンジニアやデザイナー、ライター、カメラマン、漫画家、作家、営業職など多彩な職種の人たちが集い、メンバー同士の交流によって、次々と新しいビジネスが誕生している。

この場所を運営するのは中小企業のIT化支援などを手掛けるChatWork(元EC Studio)のグループ会社として誕生したEC studioスペース。代表を務める大崎弘子さん(38)は、EC Studioの社員だったとき自らコワーキングスペースの開設を提案し、2011年にこの会社を設立した。オオサカンスペースのコンセプトは「『やりたい』を『できる』に変える」。人と人が出会えば新しいコラボレーションが生まれる。そこには、大崎さん自らが経験してきた思いが込められている。

大崎さんは現在、18歳と17歳の子どもを持つシングルマザーである。20歳の時に結婚。その年に第1子を、21歳の時に第2子を出産したが、その後まもなく離婚する。実家と同じマンションに移り住み、同じくシングルマザーの友人と家事や育児を分担しながら仕事探しを始めた。

何かあっても1人で生きていけるよう、おカネを稼ぐ手段を持っておこう――。実は、大崎さんは独身時代からこう考えていた。「一生食べていける資格」「仕事の経験」「自分にしかできないこと」があれば困ることはない。そのため、高校を卒業して最初に就いたのは経理の仕事だった。仕事を通して基本的なパソコン操作も学んでいた。

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