ジャニの常識覆す「タイプロ」異例ヒットの背景 「ジャニーズなき世界」で前代未聞オーディションの全容

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今回のオーディションは、その過程を経ていない者がいきなりメンバーになる可能性も大いにある。さらに、その様子が番組として公開されるとなると、異例ずくめである。

これまでも、ジャニーズJr.のオーディションの様子が放送されることはあった。実は筆者も、2004年にテレビ東京の『ya-ya-yah』という番組での公開オーディションを受験している。

もちろん番組内で選考の様子や結果は放送するものの、今回のようにドキュメンタリー番組としてじっくりと候補者の様子を追うようなものではなかった。

他にも岡田准一がデビューするきっかけとなった日本テレビ『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ジャニーズ予備校」のようなものはあったものの、あくまで番組内の企画といった印象で、今回のようにじっくりと時間をかけ、オリジナルのドキュメンタリー番組としてその選考の様子や基準を追うのは初めてのことである。それだけで十分に画期的だ。

さらに、これはジュニアのオーディションではなく、いきなりtimeleszという人気グループのメンバーになる者を探す試みだ。それは、timeleszの仲間探しとしての意味も持ち、本人たち主導で行われる。数あるオーディション番組の中でも、メンバー本人が選考に関わるのはなかなかないことである。

ただ、かなり革新的なことをしている一方で、実は、旧事務所から受け継いでいる魂のようなものも随所に感じることができる。それが特に顕著に表れるのが、彼らが人を選ぶときの基準である。

timelesz公式YouTube
かつての自分たちのオーディション時を懐かしむ3人(画像:timelesz公式YouTubeより)

“ダンスがうまい候補者”は逆に浮いている

筆者は拙著『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)で、ジャニーズの選考基準は「やる気と人間性」であるとし、その詳細を描写した。その2つがあれば、最初は歌やダンスが未経験の少年たちでも、ジャニーズアイドルとして輝けるようになっていくというのが主張の骨子である。

オーディション番組といえば、参加者がルックスやスキルを争うもの、と思う方も多いだろう。だが、現状、この番組の中では、ほとんどスキルやルックスの話が出てこない。では、メンバーは候補者の何を見ているのだろうか。

今回のオーディションで見ているものとして、菊池風磨は「想いの強さ」を挙げる。「強い想いがあればパフォーマンスもスキルも顔つきも全然変わると思うので」と番組内でその理由を述べている。

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