クルクス反攻で苦境に陥ったプーチン大統領 戦勝計画をアメリカに迫るゼレンスキー

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これに対しウクライナ軍は、ロシア軍の反攻作戦を受けてクルスク州内の新たな地区への前進を開始、「反攻への反攻」作戦を展開している。本稿執筆時点でクルスクでの軍事的主導権はウクライナ軍が引き続き握っているとキーウの軍事筋は断言している。

今後、クルスク情勢はどうなるのか。現兵力でロシア軍がウクライナ軍をクルスクから撃退するのは不可能と筆者はみている。当面の焦点は、プーチン氏が今後、どれだけクルスクに兵力を追加投入できるか否か、だ。

ロシア軍が露呈した大問題

今回の反攻作戦開始でロシア軍は大きな問題点をさらけ出すことになった。それは何か。現在、ロシア国内にはクルスクでの作戦に新規に投入できる予備的実戦部隊が存在しないという事実だ。

今回ロシア国防省は、これまで最重要な攻撃箇所だった東部ドネツク州での激戦地ポクロフスクやチャシフヤルから一部部隊を剥がして、クルスクに投入せざるをえなかった。

これまでも、戦死者の増大をまったくいとわない異常な肉弾突撃攻撃を繰り返しているロシア軍にもはや国内に予備兵力がないことを再三指摘してきたが、このことがこれまで以上に明らかとなった。

ロシア軍の攻勢でウクライナ軍が苦しい状況に追い込まれていた東部のポクロフスクをめぐっては、プーチン氏がロシア軍に対し2024年10月1日までに制圧するよう厳命していた。

しかし、ロシア軍がポクロフスクから空挺部隊など一部部隊をクルスクに転戦させたことで、もはやこの命令実行は事実上不可能だ。攻撃は続いているものの、命令は事実上撤回されたと言っていいだろう。

一部のロシア軍従軍記者は先日、ポクロフスク攻防戦について「放棄された戦線」と評したほどだ。東部戦線でロシア軍の攻勢が続いているが、肝心のポクロフスクなどで攻撃は大幅にトーンダウンするだろう。

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