「富山の祭り」資金対策"80万円の観覧席"の満足度 20万人が見物、300年の歴史ある「おわら風の盆」

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「推し活グッズの販売を告知したところ、今年は祭りに行けないが、ぜひ応援したいので購入したいとの声をいただいた。中には複数の町のうちわを購入してくださるお客様もいる。祭りを応援してくれる人が大勢いることを地域の若者にも知ってもらうことで、今後、祭りに積極的に関わるきっかけになればと思う。収益化はもちろんだが、祭りの担い手不足の対策としても寄与することを期待している」(グッズの販売を担当する県職員)

並べられた「応援うちわ」
「応援うちわ」は2700本を用意し、オンライン注文分は別途受注生産するという(筆者撮影)

祭り期間中の3日間で、推し活グッズ(町紋入りうちわ1000円、八尾和紙を使った特性うちわ3000円、手ぬぐい3000円。いずれも税込)の販売点数は2156点(うちわ合計1640点)、売り上げは約290万円に上ったという。

筆者は地元の神奈川県でイベントの運営にも携わっているが、近年は企業の協賛金等も先細りの傾向があるため、経費を差し引いたとしてもこの290万円という金額はバカにならないと感じる。うちわはイベント時に無料配布するようなケースも多いが、上手く商品化すればそれなりの売り上げが立つのだ。たかがうちわ、されどうちわである。

1組80万円の町家観覧席

今年のおわら風の盆で、もう1つ興味深かったのが「町屋貸切 特別観覧席プラン」(祭り当日の24時まで利用可。宿泊不可)だ。祭りが開催されるエリアの町家1棟(最大10名で利用可)を1組80万円(税込。売り上げの一部は、祭りの保存・維持に活用)で貸し切るプランで、2階からゆったりと祭りを観賞できるほか、部屋に踊り手4名が来て「特別演舞」を披露するサービスなども付くという。このプランに果たして80万円の価値があるのか、取材前から気になっていた。

このような高額な建物の貸し切りプランの例として、すぐに思いつくのは愛媛県大洲市の「大洲城キャッスルステイ」(2名1泊132万円、税込)だ。大洲城は復元天守(2004年に復元)ではあるものの、城の天守閣に泊まり、「1日城主」になれるというのは極めて特別感のある体験であり、高額の料金を支払ってでも泊まりたいというニーズは高い。

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