真のリュクスに浸る、「文化財」と過ごすリノベ宿 「時を超える美」にもてなされる極上のひととき
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国の重要文化財や有形文化財と共に過ごすことができる宿が増えている。文化財を保存するだけでなく活用しながら後世に残そうとする機運が高まる中で法改正も進み、宿泊施設などとして開かれるようになってきたのだ。
そこで今回、歴史的建造物を修築して生まれ変わった宿を「リノベ宿」と定義し、文化を継承する思いのある宿を厳選。外資系ラグジュアリーホテルの進出が進む中、日本が誇る文化を存分に堪能する“真のリュクス”を味わえるとっておきの宿を紹介したい。
重要文化財で食事を楽しむオーベルジュ「長楽館」
京都・祇園の長楽館は、明治時代に「煙草王」と呼ばれた実業家・村井吉兵衛の別邸として建てられた。アメリカ人技師のJ.M.ガーディナーが設計し、外観はルネサンス、内装はロココやネオクラシック、アールヌーヴォー、和の書院造などさまざまな建築様式が一堂に会する。
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伊藤博文がここを「長楽館」と名付け、イギリス皇太子ウェールズ殿下、アメリカ人実業家のジョン・ロックフェラー、山県有朋、大隈重信、渋沢栄一などそうそうたる人々が訪れた。
世界大戦後、GHQ接収を経て古びていた長楽館を、土手富三氏が購入し私財を充て修築した。しだいに、建物を稼働させながら保存するという「動態保存」の考えから60年代に本館でカフェをオープンし、1986年には京都市指定有形文化財に指定される。
2008年には本館と、60年代よりホテルとして開業していた隣接の新館をリニューアルし、文化財で食事を楽しむオーベルジュへと変化を遂げた。
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