蒲蒲線が一歩前進「羽田アクセス」新路線の現在地 国が予算案に費用初計上、JR新線の進み具合は?
新空港線の構想を推進してきた大田区の鉄道・都市づくり課の担当者は、「概算要求の段階なので決まったわけではないが」と前置きしたうえで、「私たちはこれでまた一歩進んだと捉えており、ありがたいこと」と語る。
同線は、約800m離れているJR・東急の蒲田駅と京急蒲田駅を結んで区内の交通の分断を解消するとともに、東急線方面から京急空港線へのアクセスを改善するのが狙いだ。東急線と京急線は軌間(線路の幅)が異なるため直通運転には課題があるが、東急多摩川線から続く線路が京急蒲田駅の地下まで延びれば、乗り換えは必要なものの東急東横線や地下鉄副都心線沿線などからの新たな空港アクセスルートとなる。まず矢口渡―京急蒲田間を第1期区間として先に整備するのはこのためだ。
「前進」だが開業は十数年後?
同線の構想は1980年代にさかのぼる。2016年には国の交通政策審議会が取りまとめた東京圏の鉄道整備についての答申で「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」の1つとされたが、その後しばらく進展はなかった。東京都と区の費用負担の割合の調整に時間を要したためだ。
新空港線(第1期)の事業費は、2022年時点の試算で約1360億円。国と地方自治体がそれぞれ全体の3分の1を補助し、残る3分の1は路線をつくる整備主体が調達する「都市鉄道等利便増進法」という制度を活用する計画だ。都と区が協議を続けていたのはこの地方自治体分の負担割合で、2022年6月に都が3割、区が7割を負担することで合意した。
これを受けて同年10月には、整備主体となる第三セクター「羽田エアポートライン」が区と東急電鉄の出資で設立され、実現へ大きく弾みがついた。今回、国交省が概算要求に費用を盛り込んだことで、2025年度は事業化へ向けた動きが本格的に進むことになりそうだ。区の担当者は「今後、事業化に向けた手続きを進めるうえで、国と具体的な相談や協議をできる段階になった」と話す。
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