蒲蒲線が一歩前進「羽田アクセス」新路線の現在地 国が予算案に費用初計上、JR新線の進み具合は?
ただ、順調に進んだとしても開業までの道のりは長い。区によると、「事業化に向けた手続きなどに3~4年、実際の工事は10年程度を要すると考えられる」ため、開業は早くても2030年代後半になるとみられる。
さらに、京急蒲田駅から先、京急空港線への乗り入れを想定する「第2期」については、線路幅の違う東急線と京急線の直通という技術的に大きな課題があり、「検討は行っているが、具体的なところは決まっていない」(区の担当者)段階。空港に直結しない状態は長く続きそうだ。
2022年時点の需要予測では、第1期整備区間の利用者は1日約5.7万人で、このうち航空旅客は1.5万人と見込む。都と区の費用負担割合が3:7なのは、都が「空港アクセスに関する旅客等その他の旅客分」、区が「空港アクセスを除く大田区発着に関する旅客分」を負担することにしたためだ。つまり、京急蒲田駅までの開業では「地域の交通機関」としての役割のほうが大きいといえる。
区は2024年4月、新空港線第1期整備による「経済波及効果」を発表。開業初年度で大田区に約2900億円、東横線などを通じてつながる都内と埼玉県・神奈川県の一部まで含めると約4600億円の効果を生むと試算し、区外にもメリットをもたらすとPRする。「路線開業で蒲田が素通りされるのでは」といった区民の懸念もある中、整備効果をいかに引き出せるかが大きな課題だ。
JR羽田アクセス線はどこまで進んだ?
一方、新空港線よりも先に開業する予定の羽田空港行き路線が、JR東日本が整備を進める「羽田空港アクセス線(仮称)」だ。
同線は、湾岸部にある東京貨物ターミナル付近から羽田空港まで約5.0kmの「アクセス新線」を建設、さらに既存の線路と接続するなどして都心部と羽田空港を直結する。
東京駅方面と結ぶ「東山手ルート」、新宿駅方面と結ぶ「西山手ルート」、りんかい線を通じて新木場駅方面と結ぶ「臨海部ルート」の3ルートの整備計画があり、すでに着手しているのは東山手ルートだ。
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