蒲蒲線が一歩前進「羽田アクセス」新路線の現在地 国が予算案に費用初計上、JR新線の進み具合は?

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同ルートは東京貨物ターミナルから、1998年以来休止している東海道本線の貨物支線(大汐線)を経由して東海道本線に乗り入れ、羽田空港と東京駅を直結する。東京駅―羽田空港駅(仮)間の所要時間は約18分の想定。宇都宮線や高崎線、常磐線方面からの所要時間短縮や乗り換え解消なども掲げる。

大汐線
休止中の貨物線「大汐線」の現在の姿。羽田空港アクセス線は同線の設備を活用する計画だ(記者撮影)

工事は2023年6月に着手。空港島内のトンネルは国交省が空港整備事業として建設することとなっており、こちらも2023年12月に着手した。空港駅は第1旅客ターミナルと第2旅客ターミナルの間にある道路の地下に建設し、長さ約310mのホーム1面2線を設ける。

JR東日本によると、整備については現状で「工事に支障となる地上設備等の移転や撤去工事を行っている」段階という。開業の目標は2031年度だ。

空港アクセスは期待の分野

今や日本経済の大きな柱の1つとなっているインバウンド。2019年度に約3188万人を記録した訪日外国人旅行者数はコロナ禍で一時期落ち込んだものの、その後急速に回復しており、日本政府観光局(JNTO)によると2024年7月は329万人と前月に続いて単月としての過去最多となった。政府は2030年度の目標を6000万人と掲げる。

蒲田駅前 羽田空港行きのシャトルバス
蒲田駅前に発着する羽田空港行きのシャトルバス(記者撮影)

通勤の減少や少子高齢化の進展で鉄道需要の大きな伸びが見込めない中、「空港アクセス」は今後も期待を集める分野だ。羽田空港にはすでに鉄道2路線のほか、バスなど多様なアクセス手段がある。新路線は増えるインバウンド需要を取り込んで既存の交通機関とすみ分けを図るのか、あるいは競争の激化を招くのか。後者となった場合、はたして「勝者」となるのはどの路線だろうか。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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