しかし、Apple Intelligenceは、“スマートフォンのあり方”を再定義するほどに大きなインパクトがある。
例えば、スマートフォンに対して何か質問をするだけであれば、iPhoneの中にChatGPTやClaudeのアプリを入れればいい。端末のシステムと統合したいのであれば、iOSがChatGPTを呼び出すように、あるいはAndroidがGeminiを活用するように、システム内でAIサービスを呼び出せばいい。
「iPhone 16/16 Proは、Apple Intelligenceをどのように組み込むかを意識して設計された、はじめてのiPhone」とアップルが紹介したのは何故か? それは、Apple Intelligenceがライバルが追いつけないほどの価値を持っているからだ。
例えば、次のようなシチュエーションを考えてみよう。
「Google Workspaceを使って顧客とのディナーの予定についてやりとりをしていた中で、最終的に調整をアシスタントに任せ、アシスタントの確認作業をSlackで行っていた。予定が決まった後、Zoomでミーティングした際に好みの食事を確認。その後、LINEを使って複数の候補から先方に最終的なレストランを選んでもらいたい」…… やりすぎに見えるが、こうした複数の連絡方法にまたがった決定は、意外とよくあるシーンではないか。
GoogleのGeminiに尋ねたとしても正しい答えは出てこない。Slackでの内容も、LINEでのやりとりも把握してないからだ。
最終的な情報を抽出する能力
アプリが対応することが前提ではあるものの、Apple Intelligenceであれば、これらのやりとりを整理した上で、正しい答えを導き出すことも不可能ではない。Apple Intelligenceは、アプリケーションにまたがるコミュニケーションを時系列に並べ直し、そのやりとりを把握したうえで、最終的な情報を抽出する能力があるからだ。
もちろん、どこまで深掘りできるかは、実際のApple Intelligenceで試さなければわからないところだが、コンセプトとしての違いは理解できるはずだ。
スマートフォンはあらゆる情報を操ることができる万能型の情報機器として、われわれの生活やビジネスにおいて必要不可欠なものになっているが、あくまでも情報を操るための道具だ。
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