就活の神さま 常見陽平著

就活の神さま 常見陽平著

新しいタイプの就活本が登場した。小説という形式を採用し、読者を主人公に感情移入させながら、ぐいぐいと読み進ませる筆力は相当なものだ。筆者は人材コンサルタントの常見陽平さん。300ページ以上のボリュームだが、一気に読める。

これから就活を始める学生にとって良書だと思う。就活は、大人と話すという体験が重要だが、なぜ重要なのかを就活を始める前の学生が理解することは難しいと思う。本書を読めば、主人公の心理や行動を追体験できる。そして就活とは何か、働くとは何かを知ることができる。そして偽物ではなく本物の就活を始めることができる。

主人公は名古屋の公立高校から都内の大学に進学した晃彦。偏差値55の大学はすべり止めだった。2年間は、単位を取るために大学に通い、週に3~4日バイトするだけの生活。そんな晃彦が3年生になり、就職ガイダンスに出席するところから始まる。

晃彦は若く、働くことの意味を考え、迷う。しかし話し合う友だちはいない。そんな晃彦を励まし、叱り、導くのは、晃彦がバイトしているロックカフェのオーナー兼マスターのジミーさんだ。

ジミーさんは意外な過去を持っていた。その過去が何かは本書をお読みいただくとして、彼の就活の教えは全部で22ある。最初と最後の教えを紹介しよう。最初の教えは「内定をゴールにしたら、就活は失敗する」。最後の教えは「自分にウソをつくオトナになるな!」。ふたつともスパイシーな名文句だ。残りの20の教えも切れ味があってよく効く。

ジミーさんの教えは、常見さんの学生へのアドバイスでもある。常見さんがシューカツを論じる時の舌鋒は鋭いが、学生向けに書かれた本書の文章はとても暖かい。多くの就活に悩む学生たちと話し、後押ししてきた経験が反映されているのだと思う。

就活の深みにはまる学生は、企業に対し卑屈になり、「内定をもらえる学生」に自分を近づけようとする。晃彦もこの罠にはまり、エントリーシートを捏造し、ジミーさんを激怒させてしまう。ジミーさんは晃彦を諭す。

「人生には“変えられるもの”と“変えられないもの”がある」
「重要なのは“変えられるもの”にフォーカスするってことなんだ。ところが、みんな“変えられないもの”にばかり注目しちゃう。たとえば、学歴」

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