「太ると病気になる」という不安が招く深刻な弊害 幸福感を犠牲にした食生活では健康になれない

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現在の日本人はこれだけ飽食の時代でありながら、1日の摂取エネルギー量は、戦後すぐと同程度にまで減少しています。エネルギー不足が、からだにどんな問題を引き起こすか解説していきましょう。

人間は、何もせずじっとしているときでも、心拍、呼吸、体温の維持などの生命活動を続けています。このとき使われるエネルギーを基礎代謝といいます。

炭水化物が不足していると、基礎代謝をはじめとするエネルギー消費を、生命活動に不可欠なたんぱく質などで賄わなくてはなりません。

現在の日本人は、炭水化物の摂取が激減している一方、その代わりに脂質の摂取量を増やすことで、なんとかエネルギーを確保し、命を存続させようとしているのです。

ダイエット目的で、炭水化物の摂取を減らして、さらに脂質の摂取も減らすと致命的なエネルギー不足になります。

基礎代謝を賄うためのエネルギーをからだの中にあるたんぱく質から作り出しますが、その際、さまざまな問題が生じてしまいます。

まず、自分の筋肉を分解してエネルギーを作り出すため、どんどん筋肉量が低下してしまいます。骨の約半分はたんぱく質(コラーゲン)です。エネルギーに使われてしまうと骨粗しょう症など骨の病気になる可能性も考えられます。

たんぱく質の分解物が血液の浄化装置、腎臓に負担をかけて、内臓疾患のリスクを高める可能性もあります。炭水化物や脂質を減らす代わりに、たんぱく質の摂取を極端に増やすことも、からだへ負担をかけることになるのです。

繰り返しますが、長期間にわたって炭水化物の摂取を大幅に減らすと、心臓病による死亡率が50%近くも増加するという報告もあります。

無理なダイエットがもたらす、さまざまな「弊害」

つまり、炭水化物の摂取量を減らしてしまうと、そのためにたんぱく質が代理で使われるため、本来たんぱく質が担うべき役割を全うできなくなってしまい、からだにさまざまな不調を生じさせてしまうのです。特に、高齢者は注意が必要です。

一方、若い女性では、スタイルや美を意識して、無理のあるダイエットをしがちです。炭水化物=太る、野菜=健康的という短絡的なイメージから、ご飯を抜いてサラダだけといったバランスの悪い食生活を続けていると、間違いなくエネルギー不足になってしまいます。

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