「太ると病気になる」という不安が招く深刻な弊害 幸福感を犠牲にした食生活では健康になれない

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国は医療費削減のためにあれこれ健康政策に力を入れており、血圧の数値をはじめとした健康診断の基準がどんどん厳しくなってきています。 その結果、本人の健康状態は何も変わらないのに、診断基準が変わったがために、"高血圧予備軍"のレッテルを貼られる人が急増しました。

健康であるにもかかわらず、血圧やBMIを気にして、無理な食事制限やダイエットをする人も増えたと感じています。

けっして長続きしない「2つのガマン」

ダイエットには 「食べないガマン」と「食べるガマン」 があります。

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太ってはいけない、もっとやせなくてはというのが「食べないガマン」、健康のためだと、たいしておいしくもない健康食品を食べることが「食べるガマン」です。

どちらも「ガマン」である限り、ストレスはたまります。いくら健康によい食品であっても、無理やり食べるのであれば、長続きしません。私はとりたてて重大な持病がないのであれば、無理に食事を制限する必要はないと考えます。

食べたいものを、自信を持って食べていただきたいのです。おいしいものを楽しく食べるのは、誰にとっても幸せを感じるもの。そうした幸福感を犠牲にした食生活は、結果的には健康を害することにつながるのです。

炭水化物は、からだに悪いものではなく、人間が健康であるために必須のもの。もちろん、とんでもない量をバカ食いしたりすれば、健康を害することになりますので、適量を知る必要がありますが、毎日、おいしく味わっていただきたいと願っています。

笠岡 誠一 文教大学健康栄養学部教授

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かさおか せいいち / Seiichi Kasaoka

1967年、広島県生まれ。山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、文教大学専任講師、アメリカ国立衛生研究所客員研究員を経て現職。専門分野は栄養生理学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。テレビや雑誌などメディアでの解説も多い。管理栄養士。食品栄養学修士(東京農業大学)。博士(農学)(愛媛大学)。

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