「太ると病気になる」という不安が招く深刻な弊害 幸福感を犠牲にした食生活では健康になれない
そんな生活を続けていたら、毎日元気に活動するエネルギーがありませんから、疲れやすく体力気力も続かないでしょうし、筋肉や骨といったからだの組織も弱々しいものになっていってしまいます。
事実、やせすぎている若い女性が増えています。さらに、やせすぎの女性の出産により、低体重で生まれてくる子供が多くなっていることが問題となっています。2500グラム未満で生まれた子供は「低出生体重児」と呼ばれ、そうした子供は、将来肥満や糖尿病などの生活習慣病になるリスクが高まる可能性があることが報告されています。
間違った健康法は、自分のからだの健康を損ねるだけでなく、子供の将来にも悪影響を及ぼすのです。
炭水化物が健康維持に欠かせないのは、糖質がエネルギー源になるためだけではありません。実は炭水化物の中には「食物繊維」がたっぷり詰まっています。
つまり、炭水化物を食べないことは、そのまま食物繊維不足に陥ることを意味しているのです。炭水化物を制限すると便秘になる人が多いのはこのためです。
「第6の栄養素」といわれる食物繊維の存在
歴史的に見れば、食物繊維は消化吸収されず、エネルギーとして活用できないので、人間のからだに必要ないもの、という見方がされてきました。
しかし、近年では、食物繊維がさかんに研究され、私たちの健康の重要なカギを握っていることがわかってきました。
「栄養にならない」「不要なもの」といった評価は今やガラリと変わり、「第6の栄養素」といわれる地位にまで格上げされました。
この食物繊維は私たちの健康をつかさどる腸内環境を維持するために重要な働きをしているのです。つまり、炭水化物を充分に摂らないと、腸内環境が悪化し、さまざまな不健康を呼び込むことにもなるのです。
極端な糖質制限ダイエットがもてはやされたりすることからも、日本人は、太ることに異常なまでの恐怖心を持っている気がします。
これがスタイルや見た目を気にする若い女性であれば、まだその心理は理解できるのですが、高齢者にも「太ってはいけない」という観念がとても強く、自ら食べる量を減らしてしまう傾向がみられます。
高齢者の多くが肥満に対する恐怖心を植え付けられた理由には、国の健康政策の影響があります。2000年に厚生労働省は『健康日本21』を策定しました。
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