都知事・小池百合子が「自民党の救世主」になる日 昨夏の選挙でも抜群の『動員力』を発揮

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いずれにしても自民党の変質は否めないので、私はここであえて「非自民政権のシナリオ」という思考実験をしてみたいと思います。シナリオは次の3つです。

①改革政権再構築
②右派連合
③穏健保守連合

順に見ていきましょう。①の改革政権再構築とは、かつての細川政権のイメージで想定しました。立憲民主党と国民民主党が連合と組み、改革政権の旗を振る。これがひとつの可能性です。

民主党の再結集

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ただし、それには条件があります。民主党政権で首相を務めた野田佳彦さんが出てくることです。言うなれば、民主党の再結集ですね。野田さんや岡田克也さん(立憲民主党幹事長。野田内閣で副首相など)が実務をハンドリングする。

そこに、公明党と維新の会の一部、場合によっては自民党の穏健派が加わり多数派を形成──私にとっては最善のシナリオですが、可能性としては低いと言わざるを得ません。

次は②の右派連合です。これは、AfD(ドイツ)や国民連合(フランス)などヨーロッパの右派ポピュリスト勢力およびアメリカのトランプ政権(共和党)のイメージです。国際環境が緊迫化し、中国・北朝鮮の脅威がリアリティを持ってくると、どうしてもナショナリズムの高揚や防衛力強化が政権の旗印になります。

言わばタカ派連合ですね。日本では、まず液状化した自民党に小池さんの新党が救命ボートのように助けを出す。あるいは維新の会、日本保守党、参政党、自民党右派による新党。そこに、民間産別と国民民主党の一部が参加するネオファシズム的な政権です。

最後の③穏健保守連合とは、②右派連合の裏返しです。選挙で過半数に届かず、自民党の右派とリベラル派が分裂し、その自民党リベラル派が立憲民主党、公明党と連立を組む。1994年の村山政権に近いイメージです。

以上はあくまで思考実験であり、近未来の現実と断定する意図はありません。しかし、常に「非自民政権のシナリオ」を想定しておくことは重要だと思います。①から急に③になる。もしくは②が短期間で倒れる。そんなブレは十分にありえますし、国際情勢の影響をかなり受けるでしょう。

山口 二郎 法政大学教授

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やまぐち・じろう / Jiro Yamaguchi

1958年生まれ。東京大学法学部卒業。北海道大学教授を経て、2014年4月から法政大学法学部教授。専門は行政学、現代日本政治論。

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佐藤 優 作家・元外務省主任分析官

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さとう まさる / Masaru Sato

1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。

2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年に『自壊する帝国』(新潮社)で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『読書の技法』(東洋経済新報社)、『獄中記』(岩波現代文庫)、『人に強くなる極意』(青春新書インテリジェンス)、『いま生きる「資本論」』(新潮社)、『宗教改革の物語』(角川書店)など多数の著書がある。

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