支持基盤の融解を保守系無党派からの支持で補ってきた自民党。派閥解消後も集票力を維持できるか。
自民党が4月4日、パーティー収入の還流に端を発する派閥の裏金事件で計39人の国会議員の処分を正式に決定した。主導したのは岸田文雄首相である。
2012年以来、自ら会長を務めてきた岸田派を含む各派の解散を推進したのに続いて、党内の混迷を押し切る形で早期決着を図った。派閥の会計責任者が立件されたのに無処分の岸田首相、次期衆院選不出馬と引き換えに対象外となった二階俊博元幹事長の扱いには、党内の反発だけでなく、国民の批判も強かったが、岸田首相は4月10日からの国賓待遇による訪米という外交日程をにらんで強引に幕を引いた感があった。
問題が表面化した2023年秋以来、自民党は「結党後、最大の危機」という見方が支配的だ。1988年発覚の未公開株譲渡によるリクルート事件では派閥が総崩れとなったが、約35年前と比べても、大量の国会議員による法律違反という点で、今回のほうが自民党にとってより深刻な事態である。
泥船の自民党を率いる岸田首相は絶体絶命のピンチと映る。なのに、周辺からは「政権担当に意欲満々」という声が漏れてくる。最大派閥だった安倍派の消滅、党内のライバル候補の脱落など、むしろ続投には好条件に、と勝手に判断しているのかもしれない。
腹の内を見せない岸田首相
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