日米同盟強化やアベノミクスからの独立で「安倍超え」を狙う岸田首相だが、自民党総裁再選の壁は高い。
NHKの大河ドラマ「光る君へ」もあって、世は『源氏物語』ブームに沸いている。
遅ればせながら筆者も、日本経済新聞文化欄に連載された「『源氏物語』を見る十選」(選者・稲本万里子恵泉女学園大学教授)に目を通しながら、津田塾大学の木村朗子教授の新刊『紫式部と男たち』(文春新書)を読んだ。
たいへん面白かった。「物語が女の人生を照らし、男たちの政治をも動かす──」と同書の帯にあるように、主人公の光源氏が学問を重んじていたとする木村氏は次のように述べている。
「政治家たるもの、ゆるぎない学識があってこそだと紫式部は書く。それは天皇の外祖父になることをただ競い、天皇の親族であることを根拠として君臨する摂関政治そのものへの強烈な批判のようにもみえる」
この摂関政治はもちろん、権勢を誇った天皇の外祖父・藤原道長を指す。木村氏を含む研究者に紫式部と道長が「男女の関係」にあったとみる向きは少なくない。その道長への批判である。
ではなぜ、本稿で紫式部が描く平安宮廷社会の支配者・藤原道長に言及するのか。理由はある。
自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金規正法違反(裏金)事件を受け、岸田文雄政権の低迷は続く。その先行きに思いをはせたときに思い浮かんだ道長の和歌がある。「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」。その解は後に示す。
日米同盟の未来に力点置く演説
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