やりっぱなし研修撲滅宣言 『人材育成担当者のための 絶対に行動定着させる技術』 

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満足度のスコアを上げるだけなら、いろいろなテクニックがあるということだ。著者はこういうやりかたに問題があると指摘し、「満足度のスコアが高いと行動に結び付きやすいといえるのか」と問うている。

企業研修は結婚式や葬式に似ている

ういう指摘を読みながら、「やりっぱなし研修」はメモリアルイベントに似ていると思った。結婚式も葬式もイベント満載だ。次から次へと司会者が感動的なシーンを演出していく。結婚式は2人を祝うため、葬儀は故人を悼むために行われるのだと思うが、イベントが自己目的化し、過剰になっている。

「やりっぱなし研修」も参加者の満足度は高いかもしれないが、終わってしまえば忘れてしまうことが多い。つまり研修の目的が見失われ、形骸化しているのだ。

永谷研一著 ProFuture 1944円

研修の目的は、「社員の行動を変える」ことだ。本書では「行動定着」「行動変容」「行動習慣」という言葉を使っている。この場合の「行動」とは仕事上の行動、振る舞い方、考え方を指しており、今までの自分の行動様式を脱ぎ捨て、新しい行動様式を身にまとうことによって、異なるビジネスパーソンになることができる。

「行動」はビジネスパーソンだけに重要なのではない。あらゆる人生のカギは「行動」にある。ノーベル平和賞を受賞した修道女マザー・テレザが語ったと伝えられている言葉に、「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから」というものがある。松井秀喜選手の座右の銘として有名になった「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」はアメリカの心理学者ウィリアム・ジェイムズの言葉として伝えられている。

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