不倫サイト集団訴訟は、だいたい成立しない 例外的に認められそうのは1つのケースだけ

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集団訴訟の先行きはどうなるのだろうか(写真:REUTERS/Mark Blinch)

[ニューヨーク (ロイター)] - 不倫・出会い系ウェブサイトのアシュレイ・マディソンは現在、同サイトがユーザーの個人情報をハッカー集団から保護できなかったことで、氏名、住所、性的嗜好をインターネット上に公表されたとして、サイトのユーザーからアメリカ国内で少なくとも5件の集団訴訟を受ける事態に直面している。

わかりやすく分類すると以下のようになる。

被害者にとっての朗報: 訴訟に直面しているアシュレイ・マディソン側にとって最も有効な主張を見る限り、少なくともユーザー数人からの訴訟に関しては、不倫サイト側が勝つとは思えない。

好ましくない情報: 仮にアシュレイ・マディソンが支払いカードデータの取り扱いについて真実を語ったとしても、集団全体の損害賠償は桁外れに大きいものにはならない。

容易になった提訴

過去6か月間に、個人情報が危険にさらされた人々にとって、サイバーセキュリティーにおける過失があったとして、企業を提訴することが、これまで以上に容易になった。被告側はかつて、ハッキングの被害者が連邦裁判所において提訴する憲法上の要件を満たしていないという点で裁判官を説得し、これらの訴訟をことごとく退けることができた。

被告側は「ハッキングの被害者は、実際に被害を被ったこと、あるいは『確実に差し迫った』損害の脅威に直面していることを証明できないので、提訴する根拠がない」と語ればよかったのである。

裁判官は近頃、このような論拠に対し、より懐疑的になってきている(そして集団訴訟弁護士は、この種の訴訟の組み立てに精通してきている)。例えば、Targetの購入客および元ソニー社員によるデータ侵害に関する集団訴訟を担当した裁判官は、双方ともハッキング被害者の身元情報と信用格付けを保護する必要があったので、それを怠った被告に対し被害者が提訴できる、と裁定した。

7月には、イリノイ州、インディアナ州、ウィスコンシン州を管轄する連邦控訴裁判所で、財務情報の盗難によって被害を受けたNeiman Marcusの顧客は、十分提訴に値するだけの損害の危機にさらされたという、重要な判決が出されている。

「Neiman Marcusの顧客は、集団訴訟の根拠となるハッカー集団による身元情報の盗難やクレジットカード不正使用が起きるのを待つ必要はないはずです。なぜなら、そのような損害が発生する『客観的かつ合理的な発生可能性』があるからです」と、控訴裁判所はコメントした。

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