不倫サイトの登録情報はプライバシーなのか 情報漏洩が原因の離婚、運営会社の責任は?
「人生一度。不倫をしましょう」。こんな刺激的なキャッチフレーズを掲げる既婚者向け出会い系サイト「アシュレイ・マディソン」が7月中旬、ハッカーの攻撃にあい、会員情報が流出した。
報道によると、アシュレイ・マディソンの運営会社は会員情報の内容や規模を明らかにしていないが、ハッカー側はほとんどの会員の氏名や住所、クレジットカード情報などを入手したとみられる。ハッカー側はサイト閉鎖を求めており、運営会社が応じなければ、情報を公開すると脅迫しているという。
カナダ発のアシュレイ・マディソンには、世界48カ国の約3800万人が登録し、日本にも約180万人の会員がいるとされる。今回のようなケースで、運営会社に法的な責任は生じるのだろうか。たとえば、情報流出がきっかけで、会員の「不倫」が配偶者にバレて離婚に至った場合、運営会社は賠償責任を負うのか。齋藤裕弁護士に聞いた。
「プライバシーとして保護される情報といえる」
「そもそも、『不倫をしようとしていた』という情報は、プライバシーとして保護されるものだと考えます」
齋藤弁護士はこう切り出した。どうしてそういえるのだろうか。
「プライバシーについては、さまざまな定義がなされます。たとえば、東京地裁2006年5月23日判決は『他人に知られたくない私的な事柄をみだりに公表されないという利益』としています。
この定義から考えると、アシュレイ・マディソンが管理していた会員情報は、プライバシーとして保護される情報だといえます」