不倫サイト集団訴訟は、だいたい成立しない 例外的に認められそうのは1つのケースだけ

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そのうちの1つである集団訴訟では、1986年に制定されたインターネット・サービスプロバイダーが保持するデータに関する取り扱いを定めた、保管された通信に関する法律を引き合いに出している。

その法律では、違反1件につき1000ドルの最低損害賠償が取り決められており、仮に推定4000万人のメンバーが、同サイトがユーザーの情報保護ができなかったことで1000ドルを手に入れることができれば、アシュレイ・マディソンの賠償額は青天井になるであろう。

しかし、別のデータ侵害事件の被害者たちがこの法律を根拠に請求を試みたが、それは失敗に終わっているようだ。例えば、クレジットカード支払処理企業のGlobal Paymentsに対する集団訴訟において、原告側の請求を棄却した2013年の判決がある。

裁判所は概して、手薄なサイバーセキュリティーでさえも、被告側がデータを意図的な開示した、という証拠を示さない限り、要件を満たさないと判断してきているのだ。

心理的な損害はどうか?

もうひとつが心理的苦痛だ。アシュレイ・マディソンがユーザーの身元情報を保護することを信用したがために、結局のところ家族や雇用主さえにも、不倫のことを知られる危険にさらされることとなった浮気者や不倫志願者の心情的な苦痛である。集団訴訟では、アシュレイ・マディソンのユーザーが被った苦痛や苦悩に対して損害賠償をするよう請求している。

しかしビーチ氏によると、婚姻関係の破綻や失業など、ユーザーが主張する心情的損害の「物理的な証拠」を示せなければ、恐怖や不安の主張が説得力を持つことはないとのことだ。

さらに、たとえアシュレイ・マディソンが、特定のユーザーにそのような実生活上の損害をもたらしたとしても、それがすべてのメンバーに当てはまる訳ではないので、裁判官がユーザー集団全体にそのような請求を認めるようなことはないと、ビーチ氏は付け加えた。

以上から、アシュレイ・マディソンの「クレジットカード情報は盗難されていない」という否認が真実であれば、脅威は実存しないことになる。つまり、裁判が行われるのは「19ドルを払ったのに」の問題に限定されることになるだろう。

(著者: Alison Frankel、編集: Alessandra Rafferty)

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事