「住宅ローンの頭金は多いほどよい」説のウソ じつは多様な選択肢がある
実際に頭金を2割入れて購入した場合と、頭金を1割だけ入れて残った1割を5年後に繰り上げ返済へまわした場合の支払い額を比較してみよう。物件価格は4000万円、返済期間35年、金利は全期間固定のフラット35で2015年8月の水準である1.58%でのシミュレーションだ。
上記のように、400万円の支払いを5年先送りしても返済額は約19万円しか変わらない。400万円が手元にあるかないかはライフプランの波を乗り越える際に大きな差となるだろう。繰り上げ返済をもう5年先送りして、購入から10年後になっても利息軽減の効果は約84万円だ。返済総額の差も37万円と、繰り上げ返済の効果が10年後でも非常に大きいことがわかる。
(※)繰り上げ返済には毎月の返済額が減少する「返済額軽減型」と、返済期間が短くなる「期間短縮型」の2種類がある
頭金は少ない方が得?
ケース①②は返済期間を変えずに条件をそろえるため、返済額軽減型でシミュレーションにしたが、期間短縮型の繰り上げ返済では結果が逆になる。頭金を2割入れるより、なんと頭金1割で残りの資金を5年後の繰り上げ返済にまわした方が返済総額は97万円も少なくなる。
「頭金はたくさん入れた方が得をするはずなのになぜ?」「同じ800万円を半分に分けて残りを後から払った方が得するなんておかしいのでは?」と不思議に思うかもしれない。じつはこの計算はちょっとした数字のマジックだ。頭金を一気に2割入れるよりも返済期間を短くした方が利息軽減の効果が大きいのだ。
利息は金利・借入額・返済期間の3つの要素で決まる。ケース③は、当初は35年でローンを組んでいるが、繰り上げ返済によって返済期間が30年5カ月に短縮される。これは「頭金2割で30年ローンを組む」という状況に近い。
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